鉄馬乗り的 銘品図鑑 ラングリッツ・レザーズ「コロンビア」
世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄
馬乗りの目線でピックアップ。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。今回はアメリカのライダースジャケットメーカーを代表する「ラングリッツ・レザーズ」の逸品「コロンビア」をピックアップ!
アメリカンライダースの最高傑作のひとつ
第二次世界大戦に勝利し、空前の好景気を迎えたアメリカは、バイク人口が爆発的に増え、名実ともにモーターサイクル大国となった。バイクメーカーにとって北米マーケットを制することは成功の近道であり、世界各国のバイクメーカーが進出を果たした。そんな背景もあり、アメリカには多くのレザージャケットブランドが誕生。ライダースジャケットはアメリカンクロージングを象徴するアイコンとなっていった。
そんな数あるライダースジャケットの中でも銘品として名高いのが、「ラングリッツ・レザーズ」
の“コロンビア”である。その歴史は、1947年にオレゴン州ポートランドでロス・ラングリッツが、「ザ・レザーガーメントショップ」をオープンしたことから始まる。ロス・ラングリッツは、’38 〜’54 年の間で47個のトロフィーを獲得するほどの本格派レーサーでもあり、現地のモーターサイクルシーンでは顔役のひとりでもあった。
第二次世界大戦時に軍用グローブ工場で裁断と縫製技術を学び、’45年頃から自身の経験をフィードバックしたモーターサイクルジャケット造りを始め、その評判の良さからショップをオープンさせたというわけだ。
コロンビアはラングリッツ・レザーズの中で最もトラディショナルなモデル。アメリカンライダースの傑作と呼ばれる由縁は、レーサーであったロス・ラングリッツだからこそ体現できた、ライダーのことを考慮したディテールだ。
まずはフロントより長く造られたバックボトムス。前傾姿勢でも腰が露出せず、寒さからも守ってくれる。オプションのサム・ブラウン・ベルトを締めれば、コルセットのような役割を果たしてくれるため、腰をガードしながら、肩の荷重を散らすことができ、長時間のライディングでもストレスを感じない。また首にムートンファーを装着することができるので、保温性を上げることができる配慮も素晴らしいところ。アメリカンライダースでは定番となっているアクションプリーツも装備され、グリップを握った状態でもストレスなく肩の可動域を広げてくれる。
カフスにはジッパーを配すことで、限界まで手首からの風の侵入を防ぎつつも、容易に着脱できるように配慮。さらにオプションでは、肩やヒジなどにパデッドを入れられるため安全性も確保できる。
今ではアメリカンライダースのスタンダードとなっているディテールを、’40年代後半にすべて擁し
ていたのは驚きである。
Padded Pocket Columbia with Back Panel Pad
70万6200円〜
コロンビアはシンプルなデザインだけに、細かなカスタムオーダーが可能。この仕様はムートンファーのエリ、サム・ブラウン・ベルト、随所にパデッド、ポケットが施された人気カスタムモデルだ
取り外し可能なファー
もっとも有効な防寒対策は首、手首、足首という太い動脈を保温すること。オプションで取り外し可能なムートンカラーを装着することができるため、シーズンや場所を問わず、道具として使えることも銘品たる理由である
風の侵入を防ぐソデのジッパー
ライダースジャケットの定番であるソデのジッパーは風の侵入を防ぐことと着脱を容易にできる役割を果たす。またカスタムオーダーで、ジッパー付きのポケットを追加できる
腰を守るサム・ブラウン・ベルト
オプションでオーダーできるサム・ブラウン・ベルトは、腰まわりをがっちりと固定することで長時間のライディングを快適にする。固定することで肩の荷重が減り、下から入ってくる風も防ぐことができる
身体を守ってくれるパデッド
ダイヤステッチの入ったパデッドをカスタムオーダーすることができる。転倒時に当たりやすい肩やヒジだけでなく、このジャケットのように背面に配することも可能である