『クラブハーレー』編集部がお届けするハーレーダビッドソン専門用語集
ハーレーダビッドソンの世界は奥が深い。歴史が長いハーレーならではのパーツやシステムなど、ハーレー乗りの中でしか飛び交わないであろう言葉も少なくない。そこで、今さら聞けない、だけどハーレーに乗るなら知っておきたいハーレー専門用語をご紹介しよう。
あ行
【アクスルシャフト】
ホイールの中心を貫く棒のこと。この棒を軸としてホイールは回転する。フロントフォークとホイールをつなぐ役割を持っている。
【イグニッション】
イグニッションは点火、点火装置を意味する。イグニッションキーは鍵を回すことで通電させ、エンジンをかけるための点火スイッチの役割を担っている。イグニッションコイルは12Vの電圧を約150~200倍に上昇、点火のもとになる高電圧を発生させる部分。イグニッションモジュールは点火時期の調整に関するパーツで交換・調整することによってさまざまな点火チューニングが可能。
【インスペクション・カバー】
車体左側、プライマリーケース部分にある楕円状のカバーの名称。このカバーを外してプライマリーチェーンの張り具合などを検査・確認できる。現行モデルではカバーはなく、その名残だけがある。
【インチ】
ヤード・ポンド法による長さの単位。ハーレーに使われているボルトサイズは、ほぼインチサイズを採用している。1インチ=約2・54センチ。
【ウィリー・G】
ハーレーの副社長兼、チーフスタイリングオフィサーを務めていたが、2012年に引退したウィリアム・G・ダビッドソン。ハーレーダビッドソン創業者のひとりであるウィリアム・A・ダビッドソンの孫。’71年のFXスーパーグライドや’77年のローライダー、XLCRなどといった斬新なデザインを持つファクトリーカスタムモデルの生みの親としても知られている。
【ウインカースイッチ】
ハーレーの特色のひとつと言えるウインカースイッチはビッグツインモデル、スポーツスターの場合は左右別体タイプでオートキャンセル機能を装備。ハンドコントロールの右側に右折、左側に左折のスイッチが設置されている。ストリートファミリーは、左右とも点灯できるスイッチをハンドルの左側に設置。消灯は手動で、中央のボタンでキャンセルする仕組みになっている。
【ウインドシールド】
走行風やホコリからライダーを守る風防で、車体の前方に取り付けるパーツ。スクリーンとも呼ばれている。前方の視認性を確保するため、クリアかスモークのアクリル素材が用いられる。空気抵抗を減らすためのフェアリング(カウル)に装着するタイプもある。
バットウイングフェアリング
’69年にオプションパーツとして登場。’71年より標準装備された。コウモリの翼のような形状から「バットウイング」と名付けられた。日本ではヤッコ凧に似ていることから「ヤッコカウル」とも呼ばれる。’14年モデルからデザインが変更され、空力性能が向上。
シャークノーズフェアリング
’80年式FLTに初採用されたフェアリングで、正式には「ストリームラインフェアリング」と言い、サメの鼻を意味する「シャークノーズ」の愛称を持つ。フレームマウントなので、重さによるハンドリングへの影響が少ないのが特徴。
ウインドシールド
楕円形のシンプルなシールドは、ハーレーの伝統的なスタイル。現在はワンタッチで簡単に取り外しできるデタッチャブルタイプを採用している。現行の2モデルに標準装備されているほか、純正のオプションパーツにはさまざまな大きさやデザインがある。
スピードスクリーン
ストリート750に採用されているフェアリング。カフェレーサースタイルのカスタムに用いられるビキニカウルがモチーフで、レーシーな雰囲気を演出。小ぶりながらも防風、防塵効果が得られる。
【エアクリーナー】
エンジン右側の中央に装着されているパーツ。名前の通りエンジンが吸入しようとする空気をフィルターで浄化する装置。性能面での変化が大きいが、存在感のあるパーツなので、カバーのみをカスタムする人も多く、社外パーツでも多くのアイテムがリリースされている。
【AMF】
アメリカン・マシン・アンド・ファンドリー・カンパニーの略。アメリカの大手機械メーカーの名称で、’69年にハーレーダビッドソンを買収し、この時代のハーレーのエンブレムにはAMFの文字が刻まれている。多くのモデルを生む転機となったが、同時に品質の低下も浮き彫りとなり、’81年、ハーレーダビッドソンはAMFから株を買い戻し(いわゆる「バイバック」)、再度独立した。ハーレーの黒歴史と言われることもあるが、この時代にショベルヘッド時代の数々の名車が生み出されたのもまた事実である。
【ABS】
ブレーキキャリパーに搭載されている「アンチロックブレーキシステム」の略。急ブレーキや滑りやすい路面でブレーキ時に車輪がロックするのを防ぎ、安定した制動力を確保する。2019年は全モデルが採用している。
【エンジン】
ハーレーは100年以上の歴史の中でさまざまなエンジンを生産してきた。その中でも代表的ものを紹介する。生産されていた年式まで覚えていると通っぽいので暗記するべし!
フラットヘッド
’29年からハーレーが採用したサイドバルブエンジン。バルブの位置がシリンダーボアの真横にあることからサイドバルブと名付けられた。ヘッドにフィンがあるのも特徴で、大排気量のV系、U系モデルは’40年代までに姿を消したが、45 ciのエンジンは軍用車や三輪のサービカーなどにも用いられ、’70年代まで生産された。
ナックルヘッド
’36年に登場したハーレーの市販車で初のOHVのビッグツインエンジン。ヘッド部分にある、ロッカーカバーが「拳」のような形状をしていることからナックルヘッドと呼ばれる。’47年まで生産された。’30年代のものは特に、近年ヴィンテージ市場で非常に人気のあるエンジンだ。
パンヘッド
ハーレーの2代目OHVビッグツインエンジン。ヘッド部分にあるロッカーカバーが鍋をひっくり返したような形をしていることから、パン(鍋)ヘッドと呼ばれる。シリンダーヘッドがアルミ化され、油圧のタペットが導入された。また、’48年から’65年まで生産された中で、’49年には油圧式のテレスコピックフォークを採用したハイドラグライド、’58年にはビッグツインで初めてリアサスペンションを導入したデュオグライド、’65年にはセルスターターを初搭載したエレクトラグライドが発表されるなど、ハーレーの進化と時代をともにしたエンジンだ。
ショベルヘッド
ロッカーカバーがシャベルの形に似ていることからこの名を付けられた、’66年~’84年まで製造された鉄製エンジン。ショベル・スポーツスターで問題視されていた鉄製のヘッドを、ビッグツインではアルミ製に変更した。クランクケースにパンヘッド時代とほぼ同一のものを使用していた’66~’69年は、それ以降のショベルエンジンと区別するため「アーリーショベル」または「ジェネレーターショベル」と呼ばれる。’70年以降は発電機がそれまでの直流型から交流型のオルタネーターへと変更されるのに従ってクランクケースも変更、その形状から「コーンショベル」と呼ばれる。「パンショベル」はパンヘッドにショベルのヘッドを流用したカスタムエンジンを指す。
エボリューション
AMFからハーレーダビッドソン社をバイバックした後に発表された最初のエンジン。’36年のナックルヘッド時代から続くOHV方式、1カム構造を引き継ぎながらも、コンピューター設計、アルミ素材の多用などによって耐久性、出力面の大幅な向上を実現した。また、「ブロックヘッド」という別称で呼ばれることもある。
ツインカム
’99年にツインカム88が登場した。エボリューションエンジンからの大きな変更点は、ビッグツインでは長い間1本だったカムシャフトを2本とし、排気量を拡大したこと。88はキュービックインチを表し、1450㏄の排気量を持つ。’06年に登場したツインカム96ではロングストローク化による排気量アップが図られ1584㏄へとスープアップされた。その後、改良を重ね、ツインカム103(1689㏄)、CVOでツインカム110(1801㏄)が採用された。2017年モデルを最後に生産を終了。ファットヘッドの愛称を持つ。
レボリューション
空冷45度V型2気筒エンジンを長きにわたって生産してきたハーレーが’02年モデルとして初めて発表した水冷エンジン。「革命」の意味を持つその名の通り、DOHC水冷60度Vツインエンジンはドイツの自動車メーカー、ポルシェの協力を得て研究がすすめられたなど話題にはことかかない衝撃のリリースであった。2017年モデルまでラインアップされていたVロッドモデルのみに採用されていた。
レボリューションX
2015年に登場したストリート750のために新たに開発された4バルブのSOHC水冷60度Vツインエンジン。ミッションとクランクケースが一体構造となったコンパクトな形状が特徴。日本では750㏄モデルのみの採用だが、500㏄モデルも存在する。
ミルウォーキーエイト
ツインカムに代わるビッグツインエンジンとして2017年のツーリングファミリーに採用。2018年モデルでは、ソフテイルファミリーにも搭載された新世代Vツインエンジン。カムを2本から1本とし、1気筒につきバルブを4本、プラグを2本にすることで効率がよく、より加速感を味わえるようになっている。また新型のバランサーにより振動が減ったり、冷却性能が高くなっているなど、現代の道路事情に合った性質のエンジンになっている。
【LEDライト】
LEDは「Light Emitting Diode」の略。光を放射するダイオードのことで、 衝撃に強く寿命も長い。 さらに消費電力が少なく光量も大きいため、最近では純正モデルで標準装備されているものも多い。
【オイルタンク】
エンジンオイルをためておくタンク。ハーレーは別体型のシステムが基本だが2018年以降のソフテイル、ツーリングはエンジン下部にオイルパンの方式が採用されている。
【オイルポンプ】
エンジンオイルをエンジン全体に行き渡らせるためのポンプ。オイルポンプによって、オイルは各部に圧送される。オイルポンプが壊れると、オイルが回らずエンジンが焼きつく可能性もあるので注意。
【OHV】
オーバーヘッドバルブの略。’36年のナックルヘッドから採用された現在のハーレーダビッドソンの基本となるエンジン構造で、それまでシリンダー横にあったバルブ(サイドバルブ)をヘッド上に配置するのが特徴。
【O2センサー】
インジェクションモデルのエキゾーストパイプの排気口のそばに取り付けられている。排気ガスに含まれる酸素濃度を計測することで、適正な燃料噴射量に補正するためのセンサー。
【オーバーホール】
機械が経年劣化や故障したときに本来の性能を発揮できるように、分解して修理すること。エンジンやミッションに使われることが多いが、フロントフォークやキャブレターなどの分解修理を指す時にも使われる。
か行
【ガロン】
ヤード・ポンド法による液体容積の単位。1ガロン=約3.79リットル。輸入モノのカスタムタンクなどでは、ガロン表示されることが多いので覚えておいて損はないだろう。
【キャスター角】
フレームのネック部分であるステアリングシャフトの中心線の、地面からの垂線に対する角度。キャスター角が大きくなると、直進安定性が増すが旋回性は落ちる。ハーレーの場合フォークの寝かされたモデルは、まっすぐ走る安定感を求めていると覚えておこう。
【キャリア】
荷物を載せるために設置する台座。リアフェンダーの上に設置する場合が多いが、ツアーパックの上部に設置するタイプも存在する。
【キュービックインチ】
ヤード・ポンド法による立法インチの単位。1キュービックインチ(ciとも表す)=約16.39cc。ハーレーでは排気量をキュービックインチで表すことが多く、ツインカム88(約1450cc)、ツインカム96(約1584cc)の88と96は、各エンジンのキュービックインチを表している。
【空冷】
エンジンの冷却方法のことで、走行風によってエンジンを冷却するシステム。冷却性能では水冷に劣るが、シンプルな構造。
【クランクケース】
クランクシャフトの回転軸を囲むケース。中央にあるタイマーカバーは旧いハーレーの名残で、昔は点火時期を調整するポイントが収納されていたので、ポイントカバーとも呼ばれていた。人気のカスタムポイントで、装飾をほどこしたオプションパーツが多くある。
【クランプ】
2本のライザーの上部が一体式になっているもの。ドレスアップパーツとしてもさまざまなデザインのものがラインアップされているが、走行時に自分の視界に入る部分なのでこだわりパーツとも言える。
【クロムメッキ】
銀白色の光沢のある金属クロムを使ったメッキ。美しい金属の発色と防錆効果を得られるため、エンジンやフォーク、カバー類などあらゆるパーツに用いられる。いまも昔もクロムの輝きはハーレー乗りには変わらず人気がある。
さ行
【サイドスタンド】
ハーレーのサイドスタンド(ジフィースタンド)は、通常のバイクのサイドスタンドよりも長めで、車重が掛かると外れないようにロックされる構造を採用。駐車後の転倒防止に役立つ。
【サドルバッグ】
ツーリングモデルやロングライドを意識したモデル、またカスタムパーツとして車体の両サイドに装着するバッグ。フェンダーストラットに装着するのが一般的。
【サービカー】
’32年に主に商用としてリリースされたサイドバルブエンジン搭載の三輪ハーレー。リアに大型のボックスを装備しており、機動性にも優れていたため、駐車禁止の取り締まりの公用車としての需要もあり、’74年まで長い期間生産されていた。
【3拍子】
ドコドン、ドコドン、というハーレーのエンジンが持つ独特の鼓動のこと。実際には変則的な4拍子だが、ハーレーはふたつのピストンでひとつのクランクを回しているため、低回転の時に、連続する4回の爆発のうちの2回が近いタイミングで響き、3拍子に聞こえる。現行モデルではただアイドリングを下げることには弊害もあるので、バッテリーやオイルポンプなどの対策を練った上でのカスタムが必要となる。
【シッシーバー】
シート後部に装着するバーのことで、荷物をくくり付けたり、後ろに乗る人の背もたれにもなって便利。チョッパーカスタムの車両に取り付けられることが多く、ヴィンテージから現行までさまざまなデザインのシッシーバーが存在する。臆病モノを意味する“シッシー”が語源となっている。
【シーソーペダル】
FL系のクラシカルなモデルに標準採用されているパーツで、つま先側を踏んで1速に入れた後は、かかと側でシフトアップ、つま先側でシフトダウンする。その特殊な操作方法から、アメリカではヒールトゥシフトとも呼ばれている。フットボードには、さまざまなデザインがあり、カスタム性が高い。現行モデルのソフテイルでは、シーソーペダルが標準ではなくなっている。
【スイングアーム】
リアホイールを支える車体部品で、サスと併せて路面からの衝撃を吸収する役割がある。ハーレーとしては、’52年の「モデルK」で初採用され、ビッグツインモデルでは’58年の「デュオグライド」から採用されていて、いまに至る。
【ステップ】
走行中にライダーの足を置いておく部分のこと。ステップの位置はペダルの操作性やライディングポジションに大きく影響する。
フォワードコントロール
ステップとペダルをフレームのダウンチューブのあたりに取り付けたコントロールポジション。足を前に大きく投げ出すようなワイルドな姿勢での操作になるので、身体が大きい人に向いている。
ミッドコントロール
ステップとペダルが身体の真下あたりにくるポジション。小柄な人でも無理のないポジションなので、ギヤチェンジやブレーキなども操作しやすい。
ハイウェイペグ
エンジンガードやダウンチューブに取り付けられる。高速走行時など足を前方に投げ出したポジションを取れるように、通常のステップに加えて装着される。
フットボード
FL系の一部に採用されるフットボード。足の接地面積が大きいため衝撃が少なく、自由度が高い。長方形や半円形のものなど年代によって形が異なる。
【スロットル】
エンジンへの空気量を調整する弁のこと。またはそれをコントロールするハンドルの右グリップを指す。フルスロットルとは、弁を全開にして最大限の空気量を送ることで、加速すること。
た行
【ダービーカバー】
車体の左側のプライマリーケースに付く大きな丸型のカバーのこと。ここを開けてプライマリーチェーンのチェックや、クラッチの張り調整など、駆動系のメインテナンスを行う。ドレスアップ用のカバーも販売されている。
【ダブルディスク】
ブレーキディスクをキャリパーが挟むことでバイクを止める、ディスクブレーキをタイヤの左右にひとつずつ装備したブレーキシステム。レーシーなモデルやエンジンをパワーアップしたり、車重が重い車両など、より制動力が必要な場合に向いている。ノーマルでは’77年式ローライダーに初採用された。
【チョッパー】
チョッパーは’50年代に頭角を現し、’60年代にはカリフォルニアを筆頭に拡大し、すっかり市場に定着した。’69年公開の「イージー☆ライダー」で主人公のキャプテン・アメリカが乗っていたようなロングフォークを装着したものから、現代的なコンパクトなシルエットのものまでそのスタイルはさまざま。起源には諸説あれど、有力なのは、当時のアウトローバイカーが盗んだマシンを元の持ち主にわからない形にするために余分なものをぶった切って、異なる見てくれに変えたという説がある。いまとなってはルーツを特定することはできないが、チョッパーの基本概念となる何者にも縛られない自由な精神は現代のカスタムにも生き続けているのだ。
【ツアーパック】
ツーリングモデルの一部に装備される、背もたれの後ろのバッグ。
【ツインクールド】
’14年モデルからツーリングモデルの一部に採用された新システム。左右のロアフェアリング内にラジエターを装着し、ヘッドの排気バルブ周辺を冷却する。冷却に液体を使ういわゆる水冷方式だが、冷却水通路はシリンダーヘッドのみで、シリンダー以下のパーツは従来のビッグツインと共通の半水冷方式。エンジンの外観をほぼ維持したまま新たな機能が加えられた。
【デタッチャブル】
容易に取り外しできるという意味。純正パーツの中にはウインドシールドやシッシーバーなどをワンタッチで取り外しができるものもある。
【テレスコピックフォーク】
油圧とスプリングで衝撃を吸収するフロントフォーク。語源は望遠鏡(テレスコープ)。現行モデルのハーレーはすべて、このフォークを純正採用しているが、長さや角度などを変えてさまざまなスタイルを作り出している。
【トランスミッション】
トランスミッションは変速機を指し、大小さまざまなギアで回転数を調節する役割を持つ。ビッグツインではエンジンとミッションが別体式になっているが、スポーツスターはケースが一体式となっているのも特徴。ツインカム88までは5速、それ以降は6速ミッションとなっている。
【トリプルツリー】
フロントフォークを支える三角形のトップブリッジ、アンダーブラケット、それをつなぐステムシャフトから構成されるパーツ。三つ又と呼ばれることもある。
【トルク】
トルクとはバイクのリアタイヤを回転させようとする瞬間的な力のこと。トルク性能に優れるエンジンは前に出る力が強いので加速性能に優れ、上り坂でもグイグイと進むことができる。ハーレーのエンジンはトルク型。
な行
【ナローグライド】
FXやXL系で採用されている、左右のフロントフォークの幅が狭いスタイル。
【ナンバーワンマーク】
’65年からハーレー社が採用している「ナンバー・ワン・マーク」。’69年にハーレーのワークスチームのレーサー、マート・ローウェルがダートトラックレースで勝利し、“強くて速い” ハーレーのシンボルマークとして認知された。いまでも人気ロゴとしてアパレルやパーツ、グッズなどさまざまな純正アイテムに使用されている。
は行
【バイザー】
ヘッドライトの上部に取り付けられる、帽子のツバのような形状のパーツ。元々FX系やXL系の車両に採用されていたが、近年のFXでは太いフォークの採用に伴い姿を消していた。ちなみにヘルメットの額部分に取り付ける短いツバもバイザーと呼ばれる。
【バーアンドシールド】
棒と盾を組み合わせたハーレーを象徴する最も有名なロゴマーク。1910年から採用され、100年以上使われている歴史あるロゴ。
【パイ】
フロントフォークなどの円の直径を表す単位。35パイ、39パイ、41パイ……などと数字が大きくなるにつれ直径は長くなる。
【ハードキャンディカスタム】
2012年より一部のモデルに投入された純正カスタムペイント。’70年代を彷彿とさせるキャンディフレークを使った塗装で、毎年異なるカラーがリリースされる。
【 馬力】
トルクが瞬間的に回す力であることに対して馬力とはその力を持続させて発生する仕事量。
【ハンドル】
バイクを運転する際にハンドルの形状はポジションに大きな影響を与える。また外観上のスタイルもハンドルによって大きく変わるので、手をつけやすいカスタムポイントでもある。
エイプハンガー
ライディングポジションが、木にぶら下がる猿(エイプ)のように見えることから名づけられたという説がある。チョッパーカスタムの代表的なハンドル。
ドラッグバー
高さのないストレートな形状が特徴。ドラッグスタイルのカスタムに用いられることが多く、ライザーをかませて装着したり、ライザーと一体型のモノもある。
プルバックハンドル
グリップ位置が手前に引かれているタイプ。操作性が良く、小柄なライダーでも無理のないポジションで走行することができる。
【BCM】
BCMとは、’11年モデルのソフテイルで初めて採用し、その後全モデルに採用されたシステム。ウインカー、ヘッドライト、スターターモーター、セキュリティシステムなどの電気系統を司るコンピューターのこと。各電気部品へのパワー供給も行われ、ヒューズやリレイ等の部品が省略されたぶん、電気系統が原因になるトラブルが減った。
【ヒートガード】
エンジンをかけているとかなりの高温になるエキゾーストパイプ。バイクに跨るライダーの身体に触れやすい部分の火傷を防止するために取り付けるカバー。
【ピリオンシート】
ソロシート着用時のタンデム用の後付シート。リアフェンダーに取り付けられる。
【フェアリング】
空気抵抗を減らすために取り付けられるカウル、風防。フェアリングの内側(ライダー側から見える部分)をインナーフェアリング、左右のエンジンガードに装着する部分をロワフェアリングという。ロワフェアリングは足元に流れる風を調整する効果を持つ。
【フェンダーストラット】
リアフェンダーのサイド部分のフレームから延長し、フェンダーを補強する部分。ここのボルトをゆるめてストラットにサドルバッグを取り付けたり、ネットやロープのフックをかけて荷物を縛ったりできる。
【プッシュロッド】
カムの動きをロッカーアームを介してバルブに伝える役割を担う。外観上からもハーレーのOHVエンジンの特徴のひとつである。
【フューエル インジェクション】
キャブレターに代わってガソリンの噴出量を電子制御するコンピューター制御の燃料噴射装置。空燃比を自動調整して適正な混合気をエンジンへ送り込む。始動性が良く低燃費なのが特徴で、チューニング次第でハイパワーなセッティングも自由自在。環境問題の関係から現行のハーレーはすべてインジェクションを採用している。
【フライホイール】
コンロッドによって伝えられたピストンの上下運動エネルギーを、回転運動エネルギーに変換する役割を担っている。フライホイールによってハーレー独特のトルク感が発生する。
【プライマリー】
エンジンの回転をミッションに伝える(一次駆動)部分。 ハーレーでは一次駆動は基本的にチェーンドライブを採用している。そしてミッションからリアホイールに動力を伝える部分は二次駆動と呼ばれ、現行ハーレーでは二次駆動は基本的にベルトドライブを採用している。
【ブラックアウト】
ブラックに塗装すること。“ブラックアウトされたエンジン”は黒く塗装されたエンジンを指す。フォークや、ホイールなどにもよく使われる。カスタムとしての人気も高い。
【プリロード】
プリロードとは、スプリングの初期荷重のことで、最初にどれだけバネが縮められた状態かを示し、ライダーの体重や荷物の有無などによって調節できるサスペンションもある。
【ヘッドライトナセル】
ヘッドライトと周辺をカバーするドレスアップパーツ。現行モデルでは、フォーク部分をカバーするタイプと、ヘッドライトが埋め込まれた一体式の2タイプがある。
【ベルトドライブ】
エンジンで得た動力をホイールに伝達する駆動システム。この動力を伝達する際にベルトを用いているスタイルを指す。ハーレーでは、二次駆動は基本的にベルトドライブで、メインテナンスがチェーンドライブと比べて容易であるというメリットがある。’80年のFXBスタージスから採用された。
【ポイントカバー】
旧いハーレーではこのカバーの中に点火に使用するポイントという部品が入っていたためにこの名称で呼ばれる。ミルウォーキーエイトはコンピューター制御の点火に変わっているため、この中には何も入っていない。ハーレーの伝統的なエンジンデザインの名残だ。
【H.O.G】
ハーレー・オーナーズ・グループの頭文字をとった名称で、読みは“ホグ”。本国のハーレー本社が唯一公認するライダーグループであり、世界中にネットワークが存在している。
【ボバー】
’30~’40年代頃のレーシングスタイルで、豪華な装備やフェンダーを取り外しレース仕様にしていた当時のカスタムが基本形とされる。
【ホワイトウォール】
側面が白いラインで塗られているタイヤ。クラシカルなスタイルによく似合う。細いラインの場合はホワイトリボンと呼ばれる。
ま行
【マスターシリンダー】
ブレーキフルードに圧をかけるパーツ。ブレーキレバーを握ることによって、シリンダー内のブレーキフルードに油圧が発生して、キャリパーへその圧力が伝わる。
【メーターダッシュ】
タンクの上部にあるスピードメーターやインジケーター、イグニッションキーなどが集合している部分。形状はモデルや年式によって異る。
ら行
【ライザー】
ハンドルを固定している部分のこと。さまざまな形状のアイテムがリリースされているので自分のポジションに合った位置にハンドルを固定することができる。
【ラバーマウント】
ラバーマウントは、フレームとエンジンとの間にラバー(ゴム)を介して、エンジンを搭載する方法。このラバーにより、走行時のエンジンの振動が吸収され、より快適なライディングを実現した。’80年代から採用された。
【リジッドフレーム】
ビッグツインでは’58年のデュオグライドから、スポーツスター系では’52年のモデルKからリアサスペンションが装備されたが、リジッドフレームはそれ以前のリアサスペンションがない時代のフレームで、フレーム自体がしなることでショックを吸収する作りになっていた。美しい三角形の形状が、リアホイールの軸からネックまで一直線になる腹上がりのシルエットを形成し、旧車ファンの間では特に人気がある。
【リジッドマウント】
フレームに直接エンジンを搭載する方式の名称。エンジンの振動を直に受けるので、ボルト等の緩みが発生することがあるが、エンジンの鼓動感を感じやすいという点でファンも多い。
【リッド】
ツーリングモデルに装着されるサイドバッグのふたの部分。アフターパーツでカバーも販売されている。
【リフレクター】
ハーレーではフォークボトムのサイドなどに装着される、夜間走行時の危険防止用の反射板。
【レイク】
“傾斜させる”という言葉からくる用語で、フロントフォークを寝かせるという意味で使われることが多い。○度レイクの~という使い方をする場合、○度はステムシャフトに対する角度である。ただレイクすればいいというものでもなく、フォークの長さやトレールを気にしながら調整しなければ操作性を失うことになるので注意。
【ローダウン】
車両の車高を下げること。サスペンションの調整、交換で下げるのが最も一般的。見た目のカスタムとしての意味も大きいが、足つき性の向上など機能的な側面も。
わ行
【ワイドタイヤ】
リアタイヤ幅を大幅に太くするスタイル。リアまわりの迫力が増しカスタムに用いられることが多い。太すぎると、コーナリングにクセが出るので要注意。
【ワイドグライド】
フォークの幅が広いタイプのテレスコピック・フォーク。または’80年に発売されたファクトリーチョッパーのFXWGを指す。