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【H-Dカスタム インスピレーション】#5 旧きよき時代のチョッパーを、現代のハーレーで再現

1960年代 チョッパー ツインカム ソフテイル

我々のカスタム意欲を刺激してくれるのは、有名ショップの手がけた“フルカスタム”だろう。この企画では、あえてそんなフルカスタム車両に的を絞って紹介していく。内容やコストを考えれば夢のまた夢かもしれないが、カスタムのヒントを与えてくれるのは、まさにこうした究極の一台なのだ。

ハマンズカスタムが製作した’60sチョッパー風ツインカム

“現代のプロダクツにはないヴィンテージならではの雰囲気”は確かに魅力的だ。しかし、カッコいいバイクでただ楽しく走りたいというのであれば、やはりハードルの高い世界でもある。ここに紹介するカスタムは、旧車チョッパーを数多く手がける「ハマンズカスタム」が、ヴィンテージモデルにこだわらなくとも雰囲気あるチョッパーは作れるということを証明した一台。

近代のハーレーならではの信頼性、そして歴代モデルと比べてもパワフルでスピードも楽しめるツインカムがベースともなれば、エンジンに手を入れなくとも旧車以上の楽しさを実現できるというもの。そのツインカムを、旧車にも見劣りしないようなスタイルにできたら、それこそヴィンテージチョッパーと同等、いやそれ以上の満足感も得られるのではないだろうか。事実、この車両は2006年モデルの“FLSTFファットボーイ”をベースにカスタムしたもので、旧車ならではの気使いは無用。何も考えずにカッコいい見た目と走りを堪能できる、ハードルの低さが魅力だ。ビルダーの松本さんは言う。

「でも単に旧車用パーツをツインカムにそのまま取り付けてもカッコよくはなりません。例えばこのバイクに縦溝のクラシックタイヤを履かせるのは、僕はあまり好みじゃない。だから現代のタイヤを履かせても違和感のないスタイルを目指しました。あと、1960年代に走っていたチョッパーが自分には合っているのですが、そんな感じのカスタムを現代のハーレーに落とし込んでいったら自然とこうなったというのもあります」

無論、このバイクはレアで趣のあるヴィンテージパーツを多用して製作されているわけではない。タンクもパンヘッド用レプリカ品を加工したものだが、クールで美しい造形のヴィンテージを知っているビルダーだからこそ実現できたカスタムといえるだろう。

ショベルヘッド時代に採用されていた径35mmのフロントフォークに換装し、ハマンズオリジナルのフォークカバーを組み込んだフロントまわり。

シャットオフバルブを備えたパンヘッド用のレプリカをベースに、フォード“モデルA”のメーターダッシュを組み合わせた個性的なタンク。まるで1960年代当時、本当に流行していたような手法にも思えるほど自然なまとまりが見事。カスタムカーにも通じているビルダーだけに、引き出しの多さあってこそ生み出せる遊び心が、当時のカスタムのような空気感を生み出しているのだろう。

シートはワンオフで製作。ツインカムカスタムの難関ともいわれる配線は、約半分ほどに減らしたうえ、それでも見えてしまう配線には布配線風のカバーで目立たないように処理している。

ワンオフで製作されたマフラー。若干フレアーしたエンド部分はフォルクスワーゲン用のテールパイプから流用したものだという。

ホイールはパフォーマンスマシン製(以下、PM)のシンプルな12本スポーク。このホイールを使いたいというところから全体のイメージを作り上げていったという。ブレーキはショベルヘッド用の10インチローターにPM製4ポットキャリパーの組み合わせて、シンプルなルックスを実現している。

リアは旧車の片ハブドラムをイメージしてPM製のスプロケットローターを選択。キャリパーをブラックとしてあえて目立たなくしているのもさすが。また、リアタイヤはあえて太すぎない150サイズとし、ヴィンテージハーレーのような細身なスタイルを構築した。

【DATA】

取材協力/ハマンズカスタム TEL077-516-4551

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