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【H-Dカスタム インスピレーション】#6 オールドテイストとニュースクールを高次元で融合!!

チョッパー オールドスクール ビレットホイール

我々のカスタム意欲を刺激してくれるのは、有名ショップの手がけた“フルカスタム”だろう。この企画では、あえてそんなフルカスタム車両に的を絞って紹介していく。内容やコストを考えれば夢のまた夢かもしれないが、カスタムのヒントを与えてくれるのは、まさにこうした究極の一台なのだ。

とことんバランスにこだわった“カッコいい街乗りバイク”

全体のシルエットは昔ながらの1960年代のチョッパーでありながら、パフォーマンスマシン(以下、PM)製のビレットホイールを違和感なく組み合わせた。「105サイクルサービス」が手がけた一台で、2005年モデルの“FLSTFファットボーイ”がベース。代表の奥田さんは「ウエストコーストチョッパーズ」率いるジェシー・ジェームスに強く影響を受けたという。

「彼は『フリスコスタイル』などのカスタムのセオリーに従った上で自分らしいスタイルを作り上げる。そこが多くのビルダーと違うところだと思うんです。でも、僕は『オールドスクール』なカタチやアイデアが好き。タンクを深くかぶせた『パンヘッド』みたいなのがカッコいいなぁ、と感じます」

この車両のように、“FL”系のフロントフォークに21インチホイールを組み合わせるのは、1960年代から続く王道チョッパーのスタンダードな手法。かと思えば、絶妙なカーブを描くリアフェンダーに大径な18インチのリアホイールを合わせる手法は、まさしくジェシー・ジェームスから始まった「ニュースクール」のセオリーといえるものだ。各所に新旧の“らしさ”を宿わせているのが奥田さん流チョッパーの特徴だが、誰もが簡単に実現できるものではない。

「カスタムは、間というか、バランスがすべてだと思います。派手にすれば、そこにしか目がいかなくなってしまう。例えばフロントホイールを23インチにするとバランスがとれなくなってしまうんです。だから僕はまだやっていません」

名のあるパーツやレアなヴィンテージパーツも使わない。もちろん似合うなら使うが、そこだけが目立ってしまうなら必要ない。この車両も「まっ黒いバイク」というコンセプトがまずあって、そこからクロムとのコントラスト、シボレーの“フリートライン”などが横に並んでも似合うような“ローライダーカルチャー”を感じさせるスタイル、といった全体像が見えてきたという。

エンジンはツインカムだが基本的にストック。ジェシーの影響を受けたのであればエンジンも……と思ってしまうが、そこにはドラッグレースにも参戦する奥田さん流の考えがあった。

「カスタムバイクでも本気のロングツーリングをしたいからこそ故障などのリスクは減らしたい。かつてはウチでもエンジンを積みかえたりするのが流行ったことがあったのですが、結構乗ってた人がエンジンを載せ替えると乗らなくなってしまう。気合いを入れないとラフには乗れない。日本の道路事情に合わないのかもしれませんね。あのパワーを使うのであれば、車体もキッチリ作り込まないと。でも僕がそういうカスタムを作りたいのかといえば、そうじゃないんです」

ショーバイクというより、“カッコいい街乗りバイク”を作っている気が強いというが、それこそが多くのユーザーが求めているハーレーかもしれない。

フロントフォークはもちろん、トリプルツリーもFLSTFファットボーイ用だが、フォークボトムはツインカムのツアラー用をスムージングして使用。ホイールにはPM製21インチを履く。ハンドルは存在感を放つ18インチのスカイハイバー。そこに合わせたライザーやミラーも有名メーカーの部品ではなく、いわゆる汎用品を使っている。主張の強いハンドルばかりに目がいくことなく自然にまとめているのは流石である。

社外のポリスシフトキットを流用し、ハンドシフト仕様に。ライディングの独特な楽しさを重視したギミックといえる。

ステップはフォワードハイとでも呼ぶべき独特なポジションを実現。社外のロッカークラッチキットを使用した油圧スーサイドクラッチも極めてシンプルな造形。マスターシリンダーには「ショベルヘッド」時代後期のものを流用している。

タンクは社外の3.5ガロンを加工してワンピース化。メーターダッシュはパンヘッド用を加工したものだ。スリムで美しいシルエットが旧車感を演出している。

ワンオフで製作したシートはパターンこそオールドスクールだが、エナメル生地を採用することで全体の黒光り感とマッチした雰囲気に仕上げている。

長いパイプに反響しているような、弾けるサウンドを奏でるマフラーは、サムソン製を加工したもの。左右2本出しのエクステンドされたシルエットがローライダーカルチャーを感じさせる。このチョッパーの個性にもなっている部分だ。

PM製のスプロケットディスク&ブレーキでチェーン化することでシンプルに仕上げたリアまわり。リアタイヤを太すぎない180サイズに抑えているのもバランスを重視してのことだろう。棒材を曲げた極めてシンプルな作りとしながら、ボルトなどが一切見えないように仕上げたフェンダーステーにも注目。左右2本出しマフラーと合わせて、このバイクの見どころとなっている。

【DATA】

取材協力/105サイクルサービス TEL075-662-3105

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