【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】旧きよき時代の“ホットロッド”をイメージ
一見するとショベルヘッドベースのチョッパーにも見えるこのマシン。しかし、このベースとなっているのは1946年式の「EL」、つまり“ナックルヘッド”である。これは神戸市にある「ナイス! モーターサイクル」が製作したもので、「ナックルの純正ケースを用いた最速のドラッグレーサー」がコンセプトだ。
こだわりの特製エンジンは、ナックルの純正クランクケースにS&S製のクランク、そしてショベルのシリンダーヘッドを組み合わせつつ、ストローカーを組み込んで排気量を1340ccまで拡大。実はナックルのクランクケースとショベルのヘッドを組み合わせるカスタマイズは、1970年代から存在する手法のひとつであるが、アルミ製ケースにクラックが入ってしまうことが多く、決してポピュラーな手法ではないという。それでも、400メートルの直線を12秒台で走り、さらには千里浜で行われているサンドフラッツレースでも結果を残すなど高いパフォーマンスを発揮するエンジンに仕上げられている。
外装は、ネックに残る1970年代当時に施されたピンストライプをはじめ、建国200周年を記念した“リバティタンク”の採用や、角目二眼のヘッドライトなどで1970年代のチョッパーの雰囲気としながらも、その正体は、旧きよき時代のドラッグレーサーそのものといっても過言ではない。間違いなく、究極のナックルだ。
スクエアなヘッドライトが二つ並ぶフロントまわり。パワフルなエンジンを抱くこのチョッパーならではの個性的な顔つきを演出している。
オリジナルのラビットハンドルを装着。シンプルな作りはもちろん、絶妙なライディングポジションも魅力だ。
アメリカ建国200周年を祝して登場したスポーツスターの“リバティエディション”に装備されたタンクを装備。こうしたパーツチョイスで1970年代当時のムードを醸し出している。
赤、白、青のトリコロールでフレームに描かれたピンストライプもまた、この車両が醸し出す1970年代の雰囲気を強調している。独特なパターンのコブラシートも個性的だ。
ナックルのケースにショベルのヘッドを組み合わせたエンジン。ストローカーを組んで排気量は1340ccとなっている。赤と黒で塗り分けたエンジンの表情が、ただならぬ雰囲気を醸し出している。
【DATA】
取材協力/ナイス! モーターサイクル