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現行のハーレーを面白くする“ドコドコ感増幅”カスタムとは!?

現行モデルのハーレーを購入したものの、イメージしていた乗り味と違うと感じる人は多い。さらには、“夏場はオーバーヒートして走れない”という切実な悩みも多く聞かれること。これは日本で販売されているガソリンの質と、現代ハーレーの圧縮比の高さが最たる原因。しかし正しく手を入れれば、過去のどのエンジンよりもドコドコ感が際立ったトルクフルで楽しいエンジンにできるという。そこで数々の実績をもつ「サンダンスエンタープライズ」で話を聞いた。

現行ハーレーは圧縮比が高すぎる!?

そもそも、日本国内で販売されているハイオクガソリンはオクタン価が低い(※アメリカとは表記基準が異なるが、実際にはアメリカのレギュラーレベルだという)。近年のハーレーは、ノーマルであっても圧縮比が高い状態にあり、そのままで乗っているとノッキングを起こしやすく、それを適正に改善する必要があるのだ。エンジンが熱をもってオーバーヒートを起こしやすいというのも、日本で売られているガソリンが原因。最悪の場合ノッキング現象によってエンジンに深刻なダメージを与えかねない。排気量が2000cc近いハーレーの場合、適正値は8以下だという。

また、現代のハーレーは「ノックセンサー」を備えているが、センサーがノッキングを起こしそうな状態を感知すると、その瞬間に大量のガソリンを送ると同時に点火時期を遅らせて、燃焼に時間がかかるようにしてノッキング現象を消す。そのためアクセルに対して1テンポ遅れがちになるのだが、適正な圧縮比ならそれを抑えることができ、アクセル操作に対してダイレクトな乗り味にできるのだ。

※このときのノッキング現象は早期着火のことで、プラグが着火する前にガソリンが燃焼する状態を指す。点火時期より早く爆発するとクランクの回転方向とは逆方向に押し戻される力が働き、エンジンに深刻なダメージを与える

【ミルウォーキーエイト(現行型エンジン)の圧縮比】

107エンジン【10.0:1】

114エンジン【10.5:1】

117エンジン【10.2:1】

【高い圧縮比による弊害】

ノッキング、オーバーヒート、コンロッド破損、クランクの焼き付き、破断など

バランサーはパワーロスの原因になる!?

不快な振動を打ち消すために備えられているバランサーだが、これはクランクの回転に合わせてバランサーと呼ばれる重りを回転させることで振動を大幅に軽減させるもの。サンダンスはこれがパワーロスの根源のひとつだと提唱してきた。実際にバランサーを取り外すチューニングは、ツインカムエンジンの時代から同社の定番メニューになっていたが、それは現行のミルウォーキーエイトでも生かされている。きっちりとクランクとピストン&コンロッドのバランスを取ることで、バランサーを外しても不快な振動が増すことはなく、むしろダイレクト感を強調した乗り味にできるのだ。

ソフテイルファミリーに搭載されているミルウォーキーエイトにはクランクの前後にバランサーを備えている。これは振動を打ち消すための重りで、現行のツーリングモデルにもフロント側にのみバランサーが採用されている

アメリカと日本ではガソリンが違う!!

国内の流通しているハイオクガソリンのオクタン価はアメリカのレギュラーと同等であり、圧縮比の高いノーマル車に使用すると、過度なハイコンプピストンを組んだチューニングエンジンのようにノッキングを起こしてしまう。これを回避するためには日本のハイオクよりもオクタン価の高いガソリンを使用したいところだが、日本では入手できない。そのためエンジンの圧縮比を落とすことで日本のガソリンに対応させる必要があるのだ

日本のハイオクガソリンはオクタン価が低いため、圧縮をさらに上げるようなチューニングはご法度。ノーマルより圧縮比を高めれば、エンジンを破損させるリスクを高めてしまう

ミルウォーキーエイトの圧縮比を下げる手法

適正な圧縮比にする際に必要不可欠なのが、サンダンスがワイセコと共同開発したリバースドーム型のピストン。ノーマルピストンのトップ面がフラットな形状になっているのに対し、サンダンス×ワイセコはトップ面がくぼんだ形をしていることがわかるだろう。だが、ミルウォーキーエイトはピストンピンの近くまでくぼませても適正圧縮比には足りず、厚みをもたせたガスケットを併用することで適正な圧縮比である8:1に抑えている。

「ハーレーダビッドソン佐賀」の協力のもと、新たに開発されたミルウォーキーエイト用の適正圧縮ピストン(左)。純正採用のピストン(右)よりも大きな径105mmを採用。排気量は約1920ccになる

ピストンを交換しただけでは適正な圧縮比が得られないため、ガスケットは通常よりも厚みを持たせた(写真右)専用品を使用。これとリバースドーム型ピストンを組み合わせることで圧縮比を適正化する

ドコドコ感が楽しめるハーレーを作るためのメニュー

近年のモデルにトルクがないといわれる最たる原因が圧縮比の高さとフライホイールの軽さだ。そこで現行モデルの“ストリートボブ”をベースに、ドコドコ感を増すカスタムを施した。具体的にはリバースドーム型ピストンとガスケットによって適正な圧縮比に改善したほか、バランサーを取り外し、クランクにはヘビーウエイトリングを装着してトルクを増大。さらにノーマルのギヤ比のままではウイリーしてしまうため、チェーンドライブに変更したうえで、リアのスプロケットを小さなものに変更している。

編集部アメミヤが実際に乗ってみた!

アクセルを開けた瞬間に、ドカーン! とグイグイ進む。加速に身構えてないと上半身が置いていかれるほどで、乗り味はワイルドそのもの。加速中もズッダッダッダッ! と身体の芯に響くような力強いドコドコ感だ。「コレ本当にミルウォーキーエイト!?」と思うほどノーマルの乗り味とは違い、実際速い! アクセルを開けることがとにかく楽しいのだ。排気量が少し大きくなっているとはいえ、ミルウォーキーエイト114と比較して100ccもアップしていないのにもかかわらず、この加速っぷりはヤバイ。そもそも現行ハーレーは2000cc近い大排気量車なのだから、これが本来のあるべき姿だといわれてしまったが、うーん納得です。

取材協力:サンダンス エンタープライズ TEL03-5450-7720 https://www.sundance.co.jp/

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