【H-Dカスタム インスピレーション】#8 最強&最狂!? スーパーチャージドFXR!!
我々のカスタム意欲を刺激してくれるのは、有名ショップの手がけた“フルカスタム”だろう。この企画では、あえてそんなフルカスタム車両に的を絞って紹介していく。内容やコストを考えれば夢のまた夢かもしれないが、カスタムのヒントを与えてくれるのは、まさにこうした究極の一台なのだ。
走りを楽しむなら“FXR+ツインカムエンジン”が定番
軽快さでは後に登場した“ダイナ”にも勝るとも劣らないと、いまだファンの多い“FXR”。このエンジンを“ツインカム”に載せ替えるというカスタムは、いまやスタンダードと言っても過言ではないだろう。そこからさらに一歩進化させたのが、1987年モデルの“FXRTスポーツグライド”をベースに「ヴィダ モーターサイクル」が作り上げた一台だ。
通常、FXRにツインカムを搭載する場合、ツーリングモデル用のユニットを移植するのが常套手段になっているが、「ベイカー製のケースがカッコよくて、どうしてもコレを使いたかった」という理由から、ツインカムに“エボリューション”エンジンのFXR用のミッションを組み合わせている。ミッション連結型のツインカムでコレをするには一筋縄ではいかないが、大加工を施すことでこれを実現。これにトムソン製のスーパーチャージャーを搭載した。いわく、パフォーマンスを求めるなら、大排気量にチューニングするという選択肢もあるが、スーパーチャージャーの効果をより体感できるよう、あえてエンジンはツインカム96のストックのままとした。
足まわりは前後ともにオーリンズ製、さらにローランドサンズ(RSD)製の大径ローターにブレンボ製キャリパーを組み合わせている。
外装はほぼすべてを作り直しているが、あえてFXRらしさを失わない造形に。ローライダーカルチャーを感じさせるペイントも、日本では黒一辺倒のスピードクルーザーカスタムに一石を投じる個性的な仕上がる。黒のコントラストとマッチした独特な迫力を醸し出している。FXRでパフォーマンスを追求するカスタムの中でも、まさに最強、いや最狂といえる一台となった。
トムソン製のスーパーチャージャーはキャンディブラックでペイント。ロワーフェアリングを切り欠いて装着したスタイルが、ただならぬ存在感を放っている。エンジンはツインカム96のストックながら、ロッカーカバーをケンズファクトリー製に交換して迫力あるルックスを実現した。
この独特なルックスがカッコいいと、エボリューションFXR用のベイカー製6速ミッションをあえて使用。もちろんそのままではツインカム96エンジンにドッキングできないのだが、大幅な加工を施すことで搭載している。
ツインカムエンジンにエボリューション用ミッションを組み合わせているため、BDL製ベルトドライブも一筋縄では付かず、かなりの加工を要したという。RSD製のペグを使用しつつ、アーム類をワンオフ製作して自然に収めたステップまわりも注目!!
この車両のベースとなったモデルはFXRTだが、フェアリングはフルゲイン製に換装。カウル内側にまで施されたペイントやスピーカーで迫力を感じさせる仕上がり。ブレーキ&クラッチにはブレンボ製のラジアルマスターを使用するなど、チョイスしたパーツにもこだわりが満載だ。
オーリンズ製の正立フォークに始まり、RSD製のビッグローター、さらにブレンボ製キャリパーなどでパワーアップしたエンジンをしっかりと受け止められる足まわりに強化。ちなみにチラリと見えるチンスポイラーはアレンネス製をセレクトしている。
強大なパワーを受け止めるほか、細かな調整なども考慮してファイナルドライブをサンダンス×RKでチェーン化。ホイールは前後ともRSD製でフロント21インチ、リア18インチとした。
【DATA】
取材協力/ヴィダモーターサイクル TEL093-223-0701