【ソフテイル カスタム ファイル】RSDが手がけたソフテイルのフラットトラック仕様!!
そもそも、アメリカで人気のある「フラットトラックレース」をご存じだろうか? これは楕円のダートコースを反時計回りで走る単純明快なレースで、ダートとはいえ猛スピード、しかもフロントブレーキのないマシンを巧みに操って、逆ハンをきって後輪を滑らせて走り抜ける豪快さが魅力の競技だ。競馬場のコースを使ってバイクを走らせたことから始まったといわれ、第1次世界大戦以前から親しまれてきたという歴史あるレースでもある。そんなレーサースタイルを、世界的にも人気の高い「ローランドサンズ デザイン(以下、RSD)」がハーレーのビッグツイン、2009年モデルの「FLSTCヘリテイジ ソフテイル クラシック」をベースに製作したのがこの一台だ。いわゆる「スポーツスター」では人気の定番カスタムスタイルといえるが、それをビッグツイン、それもクラシカルなソフテイルをベースに製作したのだから驚かされる。「さすがRSD」と思わせるセンスが見事だ。
リジッドフレームを模した形状のソフテイルでフラットトラッカー仕様を作るというのは決して亜流ではない。そのレースの歴史を遡っていけば“WR”や“KR”といった、リジッドフレームモデルのレーシングマシンも存在するからだ。この「Del Mar Softail」と名づけられた一台も、そんなヒストリックなレーサーにインスパイアされて製作されたという。
だが、そのヒストリックなレーサーを単に真似するのではなく、現代的な削り出しパーツを多用して製作している点が、RSD流のセンスが光る部分だろう。こと現代のソフテイルをチョッパーなりボバーなりにカスタムする際は極太のリアタイヤが選ばれる傾向にあるが、リアホイールをフロントと同サイズの19×3.0″としたことでスピード感あるスタイルを構築。もしも当時のハーレーのフラットトラックレーサーが、リジッドフレームのまま進化していたら……と思わせるユニークな一台だ。
シンプルさが際立つハンドルまわり。フロントフォークにはカバーを取り付けてヴィンテージ調の雰囲気に仕上げている。コンパクト化されたタンクの下面に見えるのはオリジナルの燃料ポンプだ。
ローランドサンズがかつてデザインを手がけたフラットトラックレース用ホイ―ルをもとに製品化した「デル・マー」ホイールを前後に採用。タイヤはダンロップのフラットトラック用をチョイスする。
ベルトプーリーはホイールと同デザインのデル・マーをセット。ドリルドで肉抜きし、スリムにデザインしたベルトガードもスポーティな印象だ。
細身のタイヤに合わせてスリムなリアフェンダーを採用。「GO LEFT」のレタリングが左回りのフラットトラックらしさを強調する。だがこのDel Mar Softailで最も驚かされるのは、ほぼRSD製ボルトオンパーツ(※現在は廃盤商品もある)で製作されている点。アイデアのセンス、そしてパーツ開発においてもRSDは一歩先行く存在といえるだろう。