【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】レトロでもハイテックでもない、新感覚ショベル!!
「アーリーショベル」と呼ばれる1967年の“FLH”をベースに、インパクトのある独自のロッカーカバーに換装。趣のあるメカニカルな表情となったエンジンをスパイスに、ダークトーンの外装でシンプルに仕上げられた一台は、現在「HUMONGOUS CUSTOM CYCLES」を営む小松氏が、東京の老舗カスタムショップ「HOT-DOCK」在籍時に製作したもの。カスタム車としてのハイクォリティな造形美と、ストリートに自然と馴染む軽快なスタイリングの両立を目指したという。
極端なことをいえば、カスタムバイクを日常的に走らせたいのであれが、派手なディテールの作り込みや手数の多さはショーモデルとしての完成度を高める一方、普段使いでは必ずしもプラスになるとは限らない。しかしこの車両をご覧いらだければわかるように、オリジナルロッカーカバーによってエンジンまわりに強烈な存在感を与えてはいるものの、それ以外はスタイリングも走行性能も、あくまでもベーシック。基本的なスタンスをストリートに置いているからこその作り込みといえるだろう。
アーリーショベルのエンジンや骨格など、旧車をベースとしながらもサスペンションやブレーキ、スイングアームなど走りに関わる部分には高性能なパーツを採用。さらにFL系特有のローギアードなギアレシオを、ノーマルよりも圧倒的に軽量化された車体に合わせたセッティングに見直すことで、街中でも気兼ねなく走行できる一台に仕上げられている。作り手と乗り手、両者の視点をもつビルダーならではのバランス感が光る。レトロでもなければハイテックすぎることもなく、それでいて強烈な個性を放つ絶妙な作り込みは見事だ。
この車両のキモが、HOT-DOCKオリジナルの「RCロッカーカバー」。ノーマルのショベルヘッドも歴代ビッグツインの中ではメカニカルな表情のエンジンといえるが、それとは明らかに一線を画す独特な造形美を放つ。このインパクトあるビジュアルこそがこのマシンに独自の世界観を与えているのだ。
FLHのフロントまわりをナローフォーク化し、オリジナルのフォークカバーを合わせた。ライトもヘッドライトバイザーを備えたスポーツスタータイプで軽快な印象に。ホイールはミスミエンジニアリング製のアルミ削り出し10本スポーク。すべてブラックアウトして装着することで迫力を与えている。
外装は、ツヤありとツヤなしのブラックで塗り分けたシックなカラーリングとしつつ、ピンストライプとシルバーリーフによってカスタムバイクらしいスペシャルな雰囲気をプラスしている。
ホールド感が高く、加速時も腰をしっかりサポートする形状のソロシートをワンオフで製作。シートベースから製作したこだわりの逸品で。縦タックロールの座面もレーシーな表情だ。
ショットガンスタイルのメガホンマフラーがスポーティな雰囲気を醸し出す。ミッションはストリートユースを考慮してクロスレシオ化。4速のFLHでネックになりやすい1速の扱いにくさを解消している。
オリジナルスイングアームに換装。ストローク量の多いオーリンズ製リアショックを採用しつつも、サスの取り付け位置を変更することでコンパクトなシルエットを実現。スプロケットやチェーンもブラックに統一することでシックな表情となっている。
【DATA】
取材協力/HOT-DOCK CUSTOM CYCLES TEL03-3926-0220