【ダイナ カスタム ファイル】ローライダーらしさを際立たせた一台
「ダイナ ファミリー」は2006年から全モデルがインジェクション仕様になったほか、フレーム剛性が見直されたうえ、ナローな印象だった径39mmのフロントフォークは、太くたくましい径49mmに進化するなど、性能面はもちろん、外観の印象も大きく変わった。逆にいえば、伝統的なナローフォークを採用していたのは2005年以前のモデルまで。仮にダイナをカスタムして1977年に登場した“FXSローライダー”のような雰囲気を求めるなら、2005年以前のモデルを選ぶと手っ取り早く実現できる。
これは2005年の“FXDLダイナ ローライダー”をベースに、初代ローライダー風にまとめた一台。前後のサスをローダウンすることで低さを増した車体、そしてマフラーには初代ローライダーの形状を再現したサンダンス製の“ローライダーヘッダース”を採用。ハンドルまわりはシンプルなドラッグバーとし、ペイントはあえてシルバーではなく上品な色味のシャンパンゴールドに。目をひくカスタムといえばこの程度でポイントは少ないのだが、抜群の効果を発揮しているといえる。この車両のオーナーは、中古でこの車両を手に入れ、幼なじみが営むバイクショップでレストアを兼ねてカスタマイズしてきた。そのコンセプトはズバリ、“お金をかけないでカッコよくする”というもの。そのコンセプト通り、見事にまとめられていることは、このローライダーを見れば一目瞭然だろう。
購入当初、前オーナーが通勤で使っていたために手入れが行き届いていない状態で、エンジンのクロムメッキもところどころにサビが浮いていたという。だが、ネットオークションで買い集めた中古の純正部品と交換してリフレッシュ。こんな具合に苦労して手をかけたバイクほど、オーナーにとっては愛情が増すもの。さらには、単なる初期型レプリカにせず、ローライダーらしいエッセンスを自分流に昇華した点も所有欲を存分に満たしてくるポイント。センスのよさが光る一台だ。
フロントフォークはオーナーの知り合いの鉄工所でインナーチューブを1インチカットしてローダウン。さらにトリプルツリーから2cmほど突き出してフロントまわりをさらに低くセットアップした。アウターチューブはオーナー自らバフ掛けしたものだ。また、フォークを左右入れ替えて、ブレーキキャリパーを前方に取り付け、旧車っぽい雰囲気に。ソリッドローターに交換しているのも旧車っぽさを強調している。
純正のライザーにドラッグバーを組み合わせたハンドルまわり。1977年の初代ローライダーのような上体がやや前傾したライディングポジションを生み出す。
キャブレターはサンダンス独自のセットアップが施されたサンダンス/ケイヒンFCR。極低速から高速まで安定して性能を発揮することから今なおハーレー乗りの定番となっているパーツだ。
シートはオーナーが加工業者に注文したというオリジナル品。タックロールの座面が往年のアメ車っぽい雰囲気だ。このシートとは別にダブルシートも所有しており、用途に合わせて付け替えているという。
リアショックはプログレッシブ製に換装してローダウン。かなり低くなったフロントまわりと合わせ、ロー&ロングなシルエットを強調する。
【DATA】
取材協力/バディーバイクス TEL0545-69-3322