【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】正統派ボバーに英車テイストをMIX!!
前後に16インチのホイールを履いた、旧きよきボバーの雰囲気に仕上げられた1979年式の「FLH」。そのフォルム、そしてフロントフェンダーを転用したリアまわりの処理など、その手法は完全にボバーだが、どことなく上品な印象すら漂う。そう、これはイギリス車のイメージをミックスしているからだ。
この車両の特徴ともなっているタンクは、1920年代に英国で誕生し、「モーターサイクルのロールスロイス」といわれた「ブラフシューぺリア」のロゴをモチーフに、ハーレーにアレンジしたものだ。というのも、カスタムを製作するにあたって、オーナーからのオーダーは「ボバー」のみ。だが、ブラフシューぺリアの写真集を見たオーナーがその雰囲気をいたく気に入って、それ風デザインをオーダーしたという。漠然としたイメージの中からオーナーとの確認を重ねることで完成したというだけに、こだわりが満載。
ハンドルやシート、ステップといったライディングポジションはオーナーに合わせたワンメイクだが、フロントフォークやブレーキは「アーリーショベル」時代のパーツを流用。あえて時代背景やルーツを統一させず、自由な発想で誕生したカスタムだが、まとまりのよさは間違いなくブラフシューぺリアに引けをとらない一級品である。
タンクはブラフシューぺリアをイメージして、クロムメッキ加工を施したうえで塗装。そのためパテで成形するなどしていないにも関わらず、H-Dのパテントマークがキレイに埋め込まれている点に注目!! ものすごい手間をかけて実現しているのだ。
オーナーの体格や好みに合わせてワンメイクしたサドルシート。レザーの質感の風合いもよく、長年使い込まれたような経年変化が迫力を生み出している。
フロントフォークとドラムブレーキはアーリーショベルから流用。イエローのヘッドライトもバイクの雰囲気によくマッチしている。
ベルト化されたプライマリーは、単にオープン仕様にするのではなく、純正のプライマリーケースをカットしてカバーを製作。手作業で削り込んだというだけあってバイクの雰囲気に自然とマッチしている。
ホットロッドな雰囲気を醸し出すホイールカバーやマフラー。金属が織りなす表情が往年のボバーを彷彿とさせる仕上がりだ。
【DATA】
取材協力/DICKYS GARAGE TEL026-214-6663