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【H-Dカスタム考察】チョッパーとは!? 第2回

チョッパー 種類 多すぎ

ハーレーのカスタムには「ボバー」や「チョッパー」、「フリスコ」や「スピードクルーザー」など、さまざまなスタイルが存在する。我々ハーレー好きにとってはどれも馴染み深いが、バイクに興味をもって間もない人にとっては、何のことやら、ちんぷんかんぷん!? というワケで、あらためてカスタムのスタイルを解説していこう。今回は以前解説した「チョッパー」をあらためて掘り下げていくが、前回よりさらに一歩踏み込み、チョッパーといわれるさまざまなスタイルを説明しよう。

ひとこと「チョッパー」といっても、さまざまなスタイルがある。

さて前回は、ボバーから装飾性の高いチョッパーへ、そしてより派手なロングフォークスタイルへと進化していったことを解説したが、それはあくまでごく一部のチョッパーのスタイルを取り上げたにすぎない。こと細かに見ていけば、時代とともにさまざまなスタイルが生まれ、今日まで親しまれてきたのだ。それほど奥が深く、ファンの多いカテゴリーがこのチョッパーなのである。今回はその中でも代表的なモノに的を絞り、イラストとともに解説していこう。ここでの呼び名は一般的に浸透しているモノもあるが、あくまでもそれぞれのスタイルを明確にするため、編集サイドで名づけたモノであるほか、イラストに関しても、必ずしもこの仕様でなければいけない、ということではないのでご注意を。

1950年~ オールドチョッパー

それ以前の「ボバー」スタイルから装飾性を高める方向性で発展して誕生。小ぶりなタンクや英国車などから流用されたサイクルフェンダー、ヘッドライトは純正採用されていたガイド製のスポットランプやベイツ製の小径タイプに換装するなど、以前のボバーと比べてスタイリッシュさが強調されている。さらに1インチ径のテーブルやイスの脚を使って“エイプハンガー”や“ドラッグバー”といったハンドルを製作して取り付けていたという

1960年~ ロングフォークチョッパー

1967年にカリフォルニアにオープンした「デンバーズ チョッパーズ」というカスタムショップが生み出したといわれるロングフォークスタイル。長いフロントフォークを取り付けるためにフレームを一度切断してネック位置を加工したことが「チョッパー」の語源となったともいわれている。特徴は上のオールドチョッパーよりもさらに装飾性を高め、シートには高さのあるシッシーバーを装着したほか、マフラーもアップスイープタイプを取り付けるなど、よりド派手に見せる手法が採られている

1970年~ フリスコチョッパー

サンフランシスコにある「フリスコチョッパーズ」というショップが生み出したスタイル。フロントフォークをいたずらに長くせず、代わりに長めのライザーに低いハンドルを組み合わせることで、横から見ればロングフォーク風でありつつ、操作しやすいポジションを実現。さらにすり抜けのしやすさを考慮し、このようなハンドルになったといわれている。また、カーブで車体を擦ることがないよう、マフラーやステップをハイマウントにしていることも特徴。派手さこそが重要だったLA発のロングフォークチョッパーとは異なり、走りやすさを重視することで警察などの追手から逃れやすくした、不良や走り屋に好まれたスタイルだ

1990年~ スウェディッシュスタイル

1950~1960年代にかけてアメリカで誕生した「チョッパー」というカルチャー。それはやがて海外へと伝わり、さまざまな国へ派生し、そこで独自の進化を遂げていった。それが最も顕著だった地域が欧州で、これを「ユーロスタイル」としてひとくくりにされることが多い。その中で代表的な手法のひとつがスウェーデンで発展したこのスタイルだ。王道のロングフォークチョッパーにテクノロジーを注入することが特徴で、フォークの角度をアジャスト可能なトリプルツリーや、極太ワイドタイヤなどを採り入れつつも、適切なディメンションにすることで扱いづらさや乗りにくさを排除。この手法は後に、アメリカで逆輸入的に人気を博したという

1990年~ ネオチョッパー

1994年に創業した「ウエストコースト チョッパーズ(WCC)」が1990年代の終わりから2000年代にかけて次々と生み出し、人気を博したスタイル。足まわりや細部に削り出しの部品を多用しつつ、各部の強度やハンドリングを重視。オリジナルのリジッドフレームやソフテイルフレームを採用して、ロングフォークやフリスコといった往年のチョッパーを現代的にアップデートしたスタイルだが、“しっかりと走れること”が特徴。WCCを率いたビルダー、ジェシー・ジェームスはテレビの番組ホストとしても活躍し、世界中でチョッパーブームを巻き起こした

いまだ根強い人気の“フリスコスタイル”とは!?

「フリスコチョッパー」とは、もともとは1970年代にとあるカスタムショップが生み出したスタイルを指すもので、必ずしも「コレがそう」と断言するのは難しい。しかしその参考となるのがここに紹介する仙台にあるカスタムショップ「コズミック」が製作した一台だ。

これは1981年モデルの“FLH”をベースとしながら、パウコ製のリジッドフレームに、スポーツスターなどに採用されていたナローフォークを組み合わせることで、フリスコスタイルの基本的なシルエットを作りつつ、前後キャストホイールやブレーキなどにスポーティな装備が奢られているのが特徴。実際の性能はさておき、フリスコチョッパーは走りの性能を当時なりの手法で実現したものといえるだろう。

コズミックオリジナルのHライザーと純正のトップクランプ、そしてドラッグバーを組み合わせたハンドルまわり。ナローでありながらライザーで高さを稼いだポジションによって、すり抜け時にクルマのミラーにヒットしにくいうえ、車体を横から見たときに、ロングフォークのような存在感も実現する
フロントフォークは“FXRT”から流用。パフォーマンスマシン製の4ポットキャリパーをダブルで奢り制動力を強化したほか、操縦性を考慮してステアリングダンパーやスタビライザーを備えている
ショベルヘッドエンジンはS&S製シリンダーやクランク、ストローカーを組み込んで1420ccまで排気量をアップ。カムはアンドリュース製のBH、キャブレターはS&S製スーパーEを組み合わせたフルチューン仕様といえる
フチ部分を編み上げとしたコブラシートは仙台のレザークラフトブランド「ティスカスタムレザーズ」によるワンオフ品。フレームに至るまで描かれたフレイムスも、フリスコならではの不良っぽい雰囲気を強調している

スタイリッシュさが魅力の“ネオチョッパー”とは!?

かつての「WCC」を彷彿とさせるスタイルながら、独自路線のチョッパーを手がけているのが東京と横浜にショップを構える「セレクテッド」だ。

長く伸ばしたフレームに、チョッパーらしいロングフォークに太いリアタイヤ、そしてパフォーマンスマシン製の足まわりが特徴だが、このスタイルを得意とする同店だけに、作り込んだ左出しマフラーを採用して個性的に仕上げるなど、バランスのよさは流石というほかない。その高級感あふれる佇まいは、先に紹介したフリスコチョッパーのような不良っぽい匂いはいっさいなく、ひたすらセレブリティな印象だ。

セレクテッドオリジナルの4インチライザーにオウルバーを組み合わせたハンドル。高い位置で腕を広げるポジションでありながらも、バー自体の高さが抑えられているため、スタイリングに違和感はない
フレームのラインにマッチする造形が特徴のワンオフタンク。インジェクションモデルがベースのため、タンク内にポンプを収めながらも、それを感じさせないスリムさを実現している
パフォーマンスマシン製のビレットホイールは21インチを選択。コントラストカットのデザインもスタイルのアクセントに一役買っている。後部の長いフロントフェンダーはセレクテッドのオリジナル品だ
レフトサイドブレーキキットを使い、リアブレーキをベルト側に収めているため、右側からホイールがよく見える。ネオチョッパー系の流行も抜かりなく盛り込まれている

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