【H-Dカフェレーサー ファイル】#1 眺めてうっとりする大人のカフェレーサー
クリップオンハンドルにシングルシート。そんなカフェレーサースタイルのカスタムを好む人は多いが、スポーティな国産車やヨーロッパ車をベースにするのでなく、アメリカ大陸という特異な環境に合わせて進化してきたクルーザーであるハーレーダビッドソンをわざわざ選び、カスタムして作りあげようなんて考える輩は、カフェレーサー好きの中でも明らかにクセ強めといえるだろう。そんな好きモノたちが、あくなき探求心とこだわりで製作したカフェレーサーにスポットを当てて紹介していくのが、この企画である。
#1 眺めてうっとりする大人のカフェレーサー
ヘッドライトからタンク、そしてシートへと一直線につながるシルエット。この直線的なラインは美しいカフェレーサーに欠かせないモノと昔からいわれてきたが、後ろ下がりのディメンションで、いかにもクルーザーなスポーツスターでそれを実現するのは、実はかなり難しい。しかし、だからこそ実現すれば、同じようなカフェレーサー好きたちに「コレ、本当にハーレー!?」と驚かれるのである。ここに紹介する東京は八王子にある「テイスト コンセプトモーターサイクル」が製作したカフェレーサーは、まさにそんな一台といえるだろう。
テイストの代表の河内山智さんは、この車両のオーナーの好みを考慮したうえで製作に当たった。
「例えば、家の庭先で(このバイクを)眺めて“いいな”って思えるモノにしたかった。だからキャストホイールではなくて、あえてスポークホイール。レーシーに攻めることが目的ではなくて、ワインディングを気持ちよく流せるぐらいの性能で、十分満足いくバイクになると思ったんだ」
つまりスポーツスターが本来もっている素直な操縦性はそのままに、見た目を上品なカフェレーサーに仕上げたというワケ。とはいっても簡単な話ではない。イギリス製のアルミタンクはスポーツスターの車格に合わせて切った貼ったしたものだし、ハーレー伝統のロードレーサーの造形を彷彿とさせるシングルシートも、既存の製品ではなく、この車格に合うよう、型から起こして製作したものだ。
面白いのはタンクはイギリス、シートはアメリカ、ヘッドライトやメーターまわりはどことなく国産旧車風(!?)と、ルーツはそれぞれバラバラながらも統一感ある仕上がりになっていること。ブリティッシュグリーンもまるで違和感がなく、世界で唯一無二のカフェレーサーが完成した。