【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】ボバー×ホットロッドで誕生した唯一無二のスタイル
「ボバー」といえばリジッドフレームをイメージする人も多いだろう。だがここに紹介するのは、京都の「ホットチョップ スピードショップ」が製作した、純正“4速フレーム”をベースにした一台。ストックフレームながら、加工を施すことで、まるでリジッドフレームを採用していた時代のレーサーのようなシルエットを構築している。
具体的には、シート下部分を“後ろ下がり”に作り変えることで、パンヘッド時代の“デュオグライド”を彷彿とさせる形状に変更。シート位置を下げたことで、スイングアームを備えた4速フレームでもボバーらしいシルエットが実現できたというワケだ。加えて、鋳物でワンメイクした独特な形状のシートカウルもこの車両の個性になっている。これによって、いわゆる1930~1940年代をイメージした正統派ボバーとは異なる方向性をもたせているのだ。
しかし、随所に施されたドリルド加工やターンアウトマフラーなど、いにしえのレーサーを彷彿とさせる演出も抜かりなし。加えて、“FLH”のフロントフォークをセットアップするなど、あえて野暮ったさを残しているのもポイント。ヴィンテージとしては比較的新しいといえるショベルヘッド、加えて4速フレームをベースにしつつも、年代を特定するのが難しいほどリアルな“ヴィンテージ感”を表現している。
また、ホットロッドカルチャーに精通している同店らしく、クルマ用のカスタムパーツを用いているのも特徴で、4輪用のフォグランプを流用したヘッドライトや、リアに装着されたホイールキャップからもその狙いどころが見てとれる。既存のスタイルに当てはまらない、ボバーとホットロッドがバランスよく融合した見事な一台だ。
フロントまわりはFLH用をそっくり使用。ハンドルは当時のフランダース製を思わせる形状で、これも本格ボバースタイルを感じさせる要因。ヘッドライトはクルマ用のフォグランプを転用している。
かなり小ぶりなタンクに変更。センターに配したプレートをルーバー風に加工することで、年代に捉われない、かつ本格レーシングマシンのような作り込みもポイントだ。
テールカウルを備えたシートはなんとアルミの鋳物。非常に凝った作りであるうえに、中央に存在感ある丸型テールランプを埋め込んだボートテールを彷彿とさせるデザインも見どころだ。
テールエンドが若干ターンアウトしたレーシーなマフラー。ステーやブレーキペダルにはもれなくドリルド加工を施し、旧いレーシングマシンがやっていた軽量化のような雰囲気を盛り込んでいる。
リアにはホイールキャップを装着。リム部分をえんじ色で塗り分けることでホットロッド的な雰囲気を強調している。
【DATA】
取材協力/ホットチョップ スピードショップ TEL075-632-7888