【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】ホットロッドテイストを盛り込んだ個性派ディガー
「ディガー」と聞けば、長く伸びたロケットタンクにライダー側にグッとオフセットされたティラーバーといった独特なスタイルを思い描く方も多いのではないだろうか? ここに紹介する一台は、ホットロッドに造詣が深い「ケーティーズカスタムズ」が手がけた新感覚のディガー。1950年代から1960年代の4輪のドラッグレーサーの雰囲気を落とし込んで全体のシルエットを構築した、その名も“New Age Digger”だ。
大径ホイールにストレッチフレームなど、チョッパーに通じる手法をとりながらも、そのシルエットは王道チョッパーとはもちろん、1960年代に西海岸で流行したディガーとも異なる個性的なもの。
当時のディガーはバイク単体ではカッコいいけれど、人が乗った姿に違和感があった。そこでライダーが乗ったときのバランスも考慮して作り込んだと、製作にあたったビルダーの田崎氏は語る。確かにこのマシンにライダーがまたがると、背中を丸めて走るような“バイクと乗り手が一体となった姿”がイメージできるハズだ。
このカスタムのキモになっているのがアルミ削り出しでワンオフ製作したというカルマグ風のホイール。後輪には本物のヴィンテージカルマグを採用しているが、当時のディガースタイルを崩し、現代的なシルエットを構築するにはフロント23インチ、リア18インチのバランスが必要と考え、ワンオフ製作するに至った。また、マフラーの取り回しやエンジンの造形を考慮して、腰下はパンヘッドではなくコーンショベルを採用している。
ヴィンテージスタイルであるディガーをそのままコピーするのではなく、ドラッグシーンの本流といえるホットロッドカルチャーを融合することで、この新しいスタイルが生まれたのだ。
エンジンはフレームとの干渉やエキゾーストパイプの造形などを考慮して、S&S製93ciのパンヘッドにコーンショベルの腰下を組み合わせている。
ドラッグバーに装着されたムーンアイズ製グリップは、4輪のホットロッドに用いられるステアリングをイメージしたものだ。
シフトも4輪用をモチーフにワンオフで製作。“ホットロッドとハーレーの融合”という一貫したコンセプトを細部まで追求している。
ダイヤステッチのエンジンガードや「バックドロップ」がワンオフで製作した、おしりがズレないシートもドラッグレーサー的だ。
【DATA】
取材協力/ケーティーズカスタムズ TEL042-557-0508