【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】さまざまなスタイルをMIXしたオールドレーサー
ハーレーのカスタムが多様化され続けている現代においては、やれなにが「チョッパー」で、なにが「ボバー」だのと厳密に定義づけることはもはや無意味といえる。他人と違うものを求めてカスタムする以上、そんな定義は必要はないのだ。大阪の「シックス モーターサイクル」が手がけたこの1946年モデルの“UL”には、そんな姿勢が表れている。
ブラック×オレンジのH-Dワークスカラーを身にまとったUL。オーナーが好むオールドレーサーがコンセプトだが、シルエットこそボバー的であるものの、細部を見ていけばチョッパーの要素も盛り込まれていることがわかる。Lキャブやオープンプライマリー、低く構えたハンドルなどの定番を抑えつつ、ローマウントしたスポーツスタータンクを左右分割で装着するなど、王道にひと手間加えることで個性的に仕上げているのだ。
ダイヤルを締めたり緩めたりすることで減衰力を調整できる摩擦式ダンパー(1946年モデルまで採用)は、いにしえのレーサーからヒントを得て上下を逆さにして装着している。
小ぶりなタンクへの変更はチョッパーの定番といえる手法だが、オールドレーサー風スタイルのこのULにも採用。だが左右セパレート化することでボバーにも違和感なく落とし込んでいる。低くコンパクトなポジションを実現するハンドルをはじめ、タンクのグラデーションがかったスキャロップペイントなど見どころは多い。
ボバー定番のサドルシートではなく、シンプルなコブラシートを採用。ボバー的なフロントまわりに対して、リアはかなりチョッパー的だが、ミックスすることで現代的なシルエットを実現している。
高い位置に備えられたステップがコンパクトかつレーシーなポジションを実現。短めのショットガンスタイルマフラーから覗く純正プラグホルダーなど、革新的でありながらも伝統を大切にするディテールが垣間見える。ULをベースとしているため、シート下にオイルタンクが備わっている点も現代的だ。
エンジンの左サイドもLキャブやオープンプライマリーなどで見どころは多い。あえてジョッキーシフトを採用している点もチョッパー的といえるだろう。
リアブレーキはパフォーマンスマシン製キャリパーなどを使用してディスク化。この車両でドラッグレース参戦もこなすオーナーだけに、ブレーキシステムを現代的なものに換装したことで走りの安心感は絶大だろう。
【DATA】
取材協力/シックス モーターサイクル TEL072-924-7540