鉄馬乗り的 銘品図鑑 US AIR FORCE「MA-1」

世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップ。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。今回はアメリカ空軍のフライトジャケットの名作「MA-1」をご紹介。
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MA-1
オキシジェンタブやコードループなど、初期のディテールが残った1957年製のUSエアフォースのMA-1。タイプAと呼ばれる2代目のモデル。パーツの欠損やボディに大きなダメージもなく、希少なミントコンディションといえる。近年はヴィンテージ相場が上がっており、50年代のフライトジャケットは渇水化している
ナイロン素材を用いた画期的な飛行服
今回、銘品としてピックアップしたのは、USエアフォースを象徴するフライトジャケットである「MA-1」だ。さまざまなブランドがサンプリングしているが、まずは王道のヴィンテージを知ることで、そのデザインの奥行を理解することができるだろう。
MA-1のベースとなったのが、まだ空軍として独立する前のUSアーミーエアフォースで採用されたコットンシェルの「B-15シリーズ」。それまでのフライトジャケットにはレザーが使われていたが、第2次世界大戦時に急激に増員したことで、ジャケットの物資が不足してしまった。そこで生産効率が高く、レザーの代用品としてコットンを使ったのが、1943年の「B-10」であり、それを改良したモデルが「B-15」となる。
そして戦勝国となったアメリカは、目まぐるしい技術革新や軍用機が発達。それに伴ってフライトジャケットにも転機が訪れた。1947年に米国空軍として独立し、メインとなる軍用機がプロペラ機からジェット機に変わったことで、大きく装備が変化したのだ。
とてつもないスピードでより高い高度を飛ぶことからレザー製ヘッドギアから、ハーレー乗りにもお馴染みのジェットヘルメットに。そしてB-15 シリーズはエリにボアがあったのだが、それがヘルメットと干渉してしまった。さらに、戦後からの化学繊維の台頭により、強靭さとシルクのような滑らかさをもつ、ナイロンを用いたフライトジャケットの開発が進められ、1950年代初頭より開発、50年代中期より正式採用されたのがMA-1なのだ。
MA-1は、前モデルとなるB-15からエリのボアが省略され、リブエリに変更。そしてコットンからナイロンへと変わった。今回紹介しているのはそんなMA-1の初期モデルとなる57年代製の「タイプA」。年代によってデイテールが異なり、表記なしからAからG
までの8タイプが存在する。このタイプAは、2型目となるモデルで、脇のコードループや酸素マスクのホースを固定するオキシジェンタブを採用していた仕様の最終期。この後の「タイプB」ではそれらのディテールが省略されてしまったため、さまざまなブランドがデザインソースとするのは、この初期型が多い。また、60年代からレスキューカラーであるオレンジのライニングになるので、落ち着いた印象のグレーのライナーであることも人気が高い理由だろう。
狭いコックピット内でも操作を邪魔しないように考慮された短い丈、そして身幅を大きくすることで運動性も確保したフライトジャケットは、ハーレー乗りのライディングポジションとも相性がよく、いつしかバイカーたちの間でも定番アウターとなっていった。
この後も修正を繰り返し、80年代まで使われる異例の長寿モデルとなった。そのディテールの変遷をひも解いていくと、現行ブランドの狙い所やシルエットの修正がより深く理解できるはずだ。
ミルスペックのタグ

製造年や素材、コントラクターなどが記載されたミルスペックのタグは、年代を判別する際に最も有効。このタグを読み解くとローレンスポーツウエア社が製造した1957年のものだとわかる。後年式とは中綿の素材も異なるのが興味深い
コードループを装備

最初期からこのタイプAの最終期まで使われていたコードループは、そのネーミング通り、コックピット内でコードをまとめる際に使われていた。戦闘機が近代化したことで不要となり、この後のタイプBでは省略されてしまう。この年代ならではの意匠である
特徴的なオキシジェンタブ

現行ブランドがサンプリングする際にこぞって使っているオキシジェンタブは、酸素マスクのホースを固定する役割を果たした。このディテールもタイプBから省略されてしまうため、ヴィンテージ市場でもこの年代までを狙う人が多い
ソデのシガレットポケット

ユーティリティポケットとも呼ばれるMA-1を象徴するソデの オキシジェンタブポケット。ジッパー付きで、タバコやペンを4本ほど収納することができる。1976年に採用された後継モデルであるCWU-45/Pにも使われているディテール