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ハーレーの絶版モデル【FXR】を、いまあえて選ぶ理由とは!?

FXRの魅力 FXR スピードクルーザー クラブスタイル インプレ

1980年にデビューした「FLTツアーグライド」に初めて採用された「ラバーマウントフレーム」。そのネックまわりを再設計して、“スポーティなビッグツイン”として1982年に登場したのが「FXR」シリーズだ。しかし、販売終了から30年以上が過ぎたいま、ようやくそのよさに気づいた人も少なくない。とはいえ、その後に登場した「ダイナ」もFXR同様にラバーマウントフレームを採用したシリーズ。「これって何が違うの!?」というワケでFXRならではの魅力を、長野県で「ロウズマジックマシン」を営む福原一郎さんに聞いてみた。

普通の国産バイクのような走りを楽しめるのが“FXR”

「やっぱりFXRの魅力は『ラバーマウントフレーム』ならではの走りですよね。フレームにエンジンがダイレクトに搭載されている『ソフテイル』と比べて、振動が少ないから長距離を走るのが楽だし、同じラバーマウントの『ダイナ』と比べても車体が圧倒的に軽い。『ショベルヘッド』以前の旧車にも乗っていたこともありますが、気軽に乗れるから結局『エボリューション』、そしてソフテイルやダイナより圧倒的に扱いやすいので、何度乗り換えても結局FXRに戻ってしまうんですよ」

「ロウズマジックマシン」を営む福原さんがハーレーを初めて手に入れたのは、いまから29年前のこと。中古で売られていた1990年モデルのFXRを「100万ちょい」で購入した。当時は日本で人気がなかったこともあり、中古のFXRが2ケタ万円台で投げ売りされているケースも珍しくなかった。安く買えるという理由も大きかったが、アメリカのモーターサイクルクラブのメンバーにFXRユーザーが多いことを知っていた福原さんは、むしろ「FXRに乗りたかった」という。しかし、FXRの本当の魅力を知ったのは、所有してからなのだった。

アウトローバイカーを題材にしたドラマの影響から、近年「スピードクルーザー」、または「クラブスタイル」とも呼ばれるカスタムスタイルが世界中で人気になったことは記憶に新しい。そのスタイルのルーツを築いたのがまさにFXRなのだ。原点回帰なのか、現在アメリカではこのFXRが大変な人気となっていて、有名カスタムショーの中でFXRだけの企画が開催されたりするほど。しかもカスタムだけでなく、純正のノーマルスタイルも注目の的になっている。この人気、日本にもすでに到達しているかも!?

「ヴィンテージのチョッパーに乗り換えたりしたけれど、結局FXRに戻ってしまう。その後も山道を走るのが楽しくて『スポーツスター』に乗った時期もありましたが、それも手放してFXR(笑)。やっぱりコレにしかない面白さがあるんですよ」

同じくラバーマウントフレームにビッグツインエンジンを搭載するダイナという選択肢もあるのでは!?

「ダイナもいいバイクですが、FXRとはやっぱり違うんですよ。同じラバーマウントでもFXRのほうがだいぶカッチリした印象があります。でも一番はプライマリーケースが短いこと。これによってホイールベースがダイナより短いほか、重量物であるエンジンが真ん中に凝縮しているような感じで本当に乗りやすいんですよ」

S&S製のエンジンを搭載し、ハードなチューニングをしてドラッグレースにも挑んでいたが、インナープライマリーが割れたりとリスクばかりが増えてしまった。そうした経験から、現在はトルクが出るタイプのハイカムを入れて吸排気系をカスタムする程度で十分と考えるようになった。

「余計なリスクは避けたほうが楽しいじゃないですか? エボなら軽いチューニングでもショベルより安心感があるし、ゆっくり走っても飛ばしても楽しいんです。FXRは、行きたい方向に視線を向けるだけでバイクが勝手に曲がっていく、いわゆる“普通のバイク”みたいに走れるハーレーなんですよ」

プロが注目するFXRの違い

エボリューションの絶対的な安心感

FXRデビュー当時は「ショベルヘッド」エンジンを搭載していたが、1984年モデル以降は放熱性に優れるオールアルミ製の「エボリューション」エンジンを搭載。設計にはコンピューターが導入され、強度や精度、品質が飛躍的に高まり、信頼性が向上した。エボは排気量アップすると故障リスクが高まってしまうため、この安心感を最大限生かすにはチューニングはボルトオンのハイカム程度にとどめるぐらいがオススメとのこと。オイル管理さえしっかり行っていれば、エンジンそのものの寿命は長いという。

ダイナとは異なる「ラバーマウントの支持」点数と「スタビライザー」の位置

ダイナのラバーは前後2点支持だが、FXRは前側1点、後ろ側はスイングアームごと左右(2点)から挟み込んでガッチリと固定する計3点支持を採用する。加えてスタビライザーの位置がダイナのように上側ではなく、下側にあるためライディング中も車体に剛性感があるという。

プライマリーの長さ

FXRのプライマリーケース長 ※編集部による実測のため誤差があります
ダイナのプライマリーケース長 ※編集部による実測のため誤差があります

FXRとダイナではプライマリーケースの長さが約50mmも異なる。これはロー&ロングのシルエットを目指し、スタイリングを重視したダイナと、ネックまわりこそ専用設計だが、ツアラー用ラバーマウントフレームを由来とするFXRの違いといえるだろう。これがFXRならではの短いホイールベースや重量マスの集中を実現し、優れた操縦性に貢献しているのだ。

1989 FXRスーパーグライド【スピードクルーザー仕様】

FXRはもちろん、ダイナやソフテイルなど、ベースモデルを問わず本格的なスピードクルーザーを長年にわたって作り上げてきたロウズマジックマシン。この車両はそんなロウズが最も得意とする定番仕様。オーナーが代わりつつも福原さんが20年にわたって診続けてきた折り紙つきの一台だ。ここからはそのこだわりのディテールを見ていこう。

コズミック製の8インチライザーにスーパーバーをセットしたクールなハンドルまわり。ライザーの奥に見えるのは、かつて後付けタコメーターの定番だったオートメーター。小ぶりなフェアリングはアレンネス製と激渋なチョイスだ
本来はタンクコンソール上にフューエルキャップを備えた作りだが、すべて撤去してエアプレーンタイプのキャップに交換。小さな径48mmのスピードメーターをフロントフォークにマウントしている
日本人の体格に合わせてシート幅を細くして足つき性を向上。硬めのスポンジを使用して型崩れしにくいうえ、腰のホールド性も重視したロウズのこだわりが詰まったオリジナルのFXR用キング&クイーンシートを装着。海外からの問い合わせも多く、長きに渡って欠品していた人気商品だが、現在リニューアルして発売中だ
マフラーはサンダーヘッダー、キャブレターはミクニ製Φ42mmという王道の組み合わせ。キャブのセッティングを詰めていけば、吸排気のみのカスタムでも十分楽しめるという

【DATA】

取材協力/ロウズマジックマシン TEL026-261-4822

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