【ハーレーの魅力とは!?】いまこそ“ヴィンテージ感”に注目!! その2
今年の4月末に発売された限定車“エレクトラグライド リバイバル”は、かつてのカラーリングを復刻し、ショベルヘッドエンジンを採用していた1970年代のハーレーの雰囲気を再現したモデル。とはいえ、これはあからさまに昔のハーレーを意識して作り込んだモデルではなく、最新型のハーレーをベースに、色や細部のアレンジを変えることでヴィンテージ感を実現したともいえる。そう、いまだOHVエンジンを採用しているハーレーは、もともとレトロな存在といってもいい。そんなメーカーだからこそ、いまだ多くのファンに支えられているのだ。前回は新たに登場したエレクトラグライド リバイバルに注目したが、今回は現代のモデルをカスタムして“ヴィンテージ感”を強調したハーレーを紹介しよう。
2012年型“FLDスイッチバック”を往年のFLH風に!!
FLDスイッチバック(2012年型)
圧倒的な存在感はもちろん、長距離移動も楽々とこなせる性能で高い人気を誇る「ツーリングファミリー」だが、かなり車重があるため、誰もが乗れるモデルではないことも確か。そこでひと回り小さな「ダイナファミリー」にサドルバッグや前後のディープフェンダー、そしてふっとボードなど、ツアラー定番の装備を与えて2012年に登場したのがこのモデルだ。
そもそもショベルヘッド時代のようなスタイリングを再び実現するために誕生したダイナのフレームだけに、往年のハーレーを再現するのは数あるカスタムの中でも定番といえるもの。この車両は、前後に16インチホイールを採用するスイッチバックのよさはそのままに、ヴィンテージ感を追求したカスタムといえるだろう。肝は実際に存在した1979年モデルのカラーリングを違和感なく落とし込んでいる点だ。
2006年型“FLSTFファットボーイ”をスリムなスーパーグライドに!!
FLSTFファットボーイ(2006年型)
リジッド風のソフテイルフレームに前後16インチタイヤと、1950年代のハーレーを想起させるシルエットながら、当時(1991年)はまだ珍しかったディッシュホイールなどを装備してモダンにアレンジ。H-D社のレジェンド、ウィリー・Gがデザインを手がけたことはもちろんだが、『ターミネーター2』の劇中でアーノルド・シュワルツェネッガーが乗ったことで大ヒットしたカスタム色の強いモデルだ。
ノーマル部分を残しているのはメインフレームとクランクケース、そしてミッション程度と、あらゆる部分に手が加えられているにも関わらず、まったく違和感なく仕上げられているが、これはソフテイルをベースに、1970年代の“FXスーパーグライド”の佇まいを再現した、スペシャルカスタムだ。旧ダイナ/スポーツスター系モデルから流用したナローなフロントまわりも目を引くが、最も特徴的な点はリアサスをツインショック化している点。これは車両を製作した「サンダンス エンタープライズ」オリジナルの“ショベルスタイル・リアエンドコンバージョンキット”によるもので、見た目だけでなく、独自のKYBサスによって走行性能も大幅にアップ。1800cc化したエンジンと伴って、刺激的な走りが楽しめる一台だ。
2000年型“FXDLダイナ ローライダー”に初期型の雰囲気を注入!!
FXDLダイナ ローライダー(2000年型)
2005年モデルまでのダイナ ローライダーは「ナローフォーク」と呼ばれる左右のフロントフォークの間隔が狭いフロントまわりを採用していたため、1977年に登場した“FXSローライダー”と雰囲気がよく似ていることが特徴。とはいえ、細部はほかのモデルと共通の部品も多いため、初期型ローライダーの面影を求めて実車を見ると、大きく異なっている。
一見すると初期型のローライダーそのものだが、搭載されているエンジンを見てようやく近年のハーレーだとわかる完成度の高さだ。というのも、ミラーやマフラー、そしてメーターダッシュにショベルヘッド用を使ったほか、フロントフォークのリフレクターの造形やフェンダーストラットも当時の形状を再現するなど、細部を徹底的に作り込むことでリアルなヴィンテージ感を実現した。単に部品を交換するだけではない、プロフェッショナルならではの一台といえるだろう。
2001年型“FLSTFファットボーイ”を旧車風にアレンジ!!
FLSTFファットボーイ(2001年型)
ウィリー・Gがデザインし、世界的に大ヒットしたベストセラーモデル。その2001年型の特徴は燃料供給システムがキャブレターであったことと、リアタイヤも130mm相当と細かったことだ。2007年モデルからフューエルインジェクションとなり、後輪も200mmサイズへとアップ(それに伴ってリアフェンダー形状も変更)した。
旧車のレプリカパーツは、いまも販売されるポピュラーなものだが、単に現代のハーレーにそれを取り付けても雰囲気よく仕上がらない。本物のヴィンテージよりもフレームはもちろん、エンジンそのものも大きくなっているため、自然なシルエットにならないのだ。ここに紹介するカスタム車は、1950年代の“FLHハイドラグライド”をモチーフに、ツインカムエンジン搭載のソフテイルに合わせて部品をリサイズ。プロならではのひと手間を加えて見事なバランスに仕上げている。使い込まれた各部の質感も相まって、まるで“本物”の風格だ。