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ハーレーのマフラーを考える【その1】

ハーレーだけでなく、バイクをカスタマイズするうえで吸排気系……中でもマフラーは、いまも昔も変わらない定番のカスタムポイント。単純にルックスや音をよくしたいと交換する人も少なくないだろう。しかし、マフラーはエンジンの性能に直結する重要な部分。形状の違いによって性能も大きく変わってくる。だからこそ、性能を考慮しつつ、マフラーというものを一度考えてみようじゃないか。

そもそもマフラーの役割とは!?

マフラーは、大別すると3つの役目を果たしている。ひとつは非常に高温になり、かつ有害な成分を含んだ燃焼ガスをライダーから遠く離れた車体外部の安全な場所に排出する、煙突のような役割。もうひとつはエンジンの性能向上と、その特性を決定づけるための機能部品としての役割。最後のひとつは環境に対するもので、音量の低減はもちろん、排気ガスのクリーン化という、現代においては最も重要といえる役割を担っている。

マフラーの構造

◆◆【エキゾーストパイプ】排気ガスを後方に出すための管。エンジン内に残った排気ガスを効率よく吸い出し、フレッシュな混合気を燃焼室に導く役割も担っている ◆◆【キャタライザー】排気ガスに含まれている一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物がこのキャタライザーを通過すると化学反応を起こして無害化される ◆◆【サイレンサー】エキパイから流入した排気ガスをここで膨張させて解放することで減圧され、音が小さくなる

高性能なマフラーとは!?

燃焼室内で混合気が爆発し、その燃焼ガスが排気ポートへと流れる際、ガスには“マフラーからのチカラ”を得て、「排気慣性」が働く。慣性の法則が働いて、燃焼室内に残ったガスを吸い出し、新たな混合気を吸い込もうとするチカラが働くのだ。基本的に混合気は、ピストンの負圧を利用して燃焼室に吸い込ませているワケだが、マフラーもそれをサポートをしているというワケ。

だが、単にそれだけではない。排気バルブが閉じる際、勢いよく吸い出されたガスに今度はブレーキがかかるような状態になり、燃焼室に近いエキゾーストパイプ部分では“負圧によって吸い出されるチカラ”と“ブレーキ効果によって止められるチカラ”が絶えず働いて「排気脈動」が起こっている。これらのタイミングを利用しながら、エキパイの長さやサイレンサーによる排気圧力の効果で、エキパイまで吸い出されてしまうフレッシュな混合気を燃焼室内に戻し、充填効率を高めるのが高性能なマフラーだ。

とはいえ、排気量やエンジンチューニングの内容によっては同じマフラーであっても異なった結果になる場合もある。特に前後気筒のガスを干渉させることで流速を速める“2in1”やツーリングモデルで見られる“2in1in2”は、同軸クランクのハーレーの場合、排気干渉自体がデメリットになって出力向上につながらないこともある。選び方がとても難しい部分でもあるのだ。

「ヌケがいい」ことが高性能とは限らない

マフラーの性能を表現する場合、よく「ヌケがいい」と耳にするが、これは「適度にヌケがいい」が正解。本当にヌケがよすぎれば、フレッシュな混合気まで排出されてしまいトルクが出ない。そこで、エキパイの長さやサイレンサー部分で排気圧力をかけることで、吸い出されようとする混合気に“戻すチカラ”をかけ、充填効率を高めて排気量以上の燃焼を起こすというのが高性能なマフラー。ただし、これには吸気と排気バルブが同時に開いている“オーバーラップ”時の状態なども密接に関わってくるため、マフラーそのものの性能はもちろん、バルブタイミングなど、トータルで考える必要があるのだ。

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