【H-Dカフェレーサー ファイル】#5 英車的な作り込みで個性的に!!
クリップオンハンドルにシングルシート。そんなカフェレーサースタイルのカスタムを好む人は多いが、スポーティな国産車やヨーロッパ車をベースにするのではなく、アメリカ大陸という特異な環境に合わせて進化してきたクルーザーであるハーレーダビッドソンをわざわざ選び、カスタムして作りあげようなんて考える輩は明らかにクセ強めといえるだろう。そんな好きモノたちが、あくなき探求心とこだわりで製作したカフェレーサーにスポットを当てていくのが、この企画である。今回は日本のシーンをリードするカスタムショップが製作したカフェレーサーを紹介しよう。
#5 イギリス車をカスタムするような手法を落とし込んだ
まるで単気筒モデルをベースにしたカフェレーサー!? というぐらいにシンプルな印象の一台は、広島のショップ「平和モーターサイクル」が製作したスポーツスター。同店といえば、国産シングルはもとより、トライアンフやBSA、ノートンといったイギリス車を得意とし、それらをベースに“超スーパースリム”なボバーカスタムを作っては、カスタムショーで注目を集める、いわば世界的にも知られたカスタムショップ。そんなショップが製作したシンプル極まりないカフェレーサーは、ライトからリアフェンダーの後端まで見事なまでに一直線に並んでいるのが特徴。と、言葉にすると簡単だが、スポーツスタにおいては、この“一直線”が難しく、決して一筋縄でいかないのだ。しかもこのカフェレーサーのベースとなった1990年式の“XLH1200”は、チョッパー風にすでにカスタムされた車両。オーナーの「チョッパーではないハーレーに乗りたい」という希望に応えるべく製作したという。
基本的に「スポーツスターっぽくならないように」常に気を使いつつ、まずはリアホイールを18インチ化。どうせやるなら印象を大きく変えようと、国産車から流用してロングタンクに変更。また、シートレールはループエンド状に加工して、リアフェンダーを上から吊るすように取り付けた。さらに、フロントフォークはオリジナルの加工を施して5cmほどローダウンし、逆にリアショックは純正よりも長いモノを使うことで、このヨーロッパ車のような、真っ直ぐなシルエットを実現している。ワンオフで製作したバックステップや、デッドストックのフォグランプなど、細かい部分の仕上がりは“さすが平和”と感じさせるセンスのよさだ。
タンクはスズキから流用。ノーマルよりもロングタイプなうえに横から見るとスクエアな形状のため、フロントからテールへと続くストレートラインを強調。シンプルな造形のため、エンジンの存在感もより際立っている