【ソフテイル カスタム ファイル】都会に溶け込む“コンパクトチョッパー”
カスタムのテーマは、“ブラックでストリートな雰囲気のハーレー”。オーナーにとっては初めてのハーレーであり、とにかくカッコいいカスタムに乗りたいと、そのシーンにおいて日本を代表するショップのひとつである「ホットドック・カスタムサイクルズ」に依頼。車両の手配からお願いしたというが、ベースに選ばれたのは1991年モデルの“FLSTCヘリテイジ ソフテイル クラシック”だ。
同店はアパレルブランドの「NEIGHBORHOOD」とコラボし、“NACHT-JAEGER(ナイトイエーガー)”というネーミングのカスタムやパーツを数多く手がけていたが、これはそのうちの一台。端的にいえば、夜の街に似合う大人のストリートカスタムをコンセプトとしたラインだが、この車両がオーナーにとって初めての大型バイクであることを踏まえて、ルックス以上に乗りやすさを重視。純正フレームを巧みに生かしながら、大幅な加工をすることなく製作していることもポイントで、完成度の高いコンパクトチョッパーに仕上げられている。
純正のソフテイルフレームをほぼそのまま生かしつつ、アルミでタンクとリアフェンダーをワンオフで製作。フロントホイールは21インチとチョッパー的だが、リアホイールを18インチにすることでシンプルなシルエットを構築。乗ったときにハーレーだけが目立つのではなく、どんなファッションでも乗り手にフィットするシンプルさを実現した。オーナーもカジュアルに乗れるとお気に入りだ。
フロントフォークはツアラーから流用した径41mmを使用。これをオリジナルのナロートリプルツリーにセットしている。これによってスリムな印象を強調。また、アウターチューブはもちろんインナーチューブもブラックでコーティングするなど、徹底して黒にこだわったフロントまわりだ。
乗りやすくなるよう、ちょうどよい高さのオリジナルのエイプバーをシンプルなライザーにセット。フロントにセットされた6ポットブレーキキャリパーと同様、マスターシリンダーもパフォーマンスマシン製を選択。シンプルな造形のミラーは、NACHT-JAEGERブランドのパーツだ。
ワンオフで製作したアルミタンクには、サイケデリックなグラフィックをあえてモノトーンで落とし込んでいる。この見事なペイントは「ノマドコンセプト」によるもの。タンクの造形や塗装だけでなく、キャップには彫金を施すなど、シンプルな印象ながら、細部までこだわっていることがわかる。
プライマリーはBDL製のキットを使用してベルトドライブ化することでスパルタンな雰囲気をプラス。ブラックアルマイトを施して、このバイクに違和感なく溶け込ませている。フロアボードはホットドックのオリジナルキットを使ってミッドコントロール化。抑えの利く自然なポジションを実現する。
ベースとなったシートはNACHT-JAEGERブランドのモノだが、ツヤ感のあるレザーで作り直している。ほぼ黒一色の車体の中でも、シートが際立つ質感で、このバイクのワンポイントになっている。これを手がけたのはシート製作で定評ある「バックドロップ」だ。
ミスミエンジニアリング製のビレットホイールをブラックアウトして装着。サイズを18インチに大径化したことで、バイク全体のシルエットをスラリとした印象になった。シンプルかつ迫力あるショットガンスタイルのドラッグパイプはワンオフで製作したものだ。
【DATA】
取材協力/ホットドックカスタムサイクルズ TEL03-3926-0220