【ヴィンテージH-D カスタム ファイル】一切の無駄を排除した究極のサイドバルブレーサー
奇抜なデザインのパーツや高価な当時モノのパーツはほとんど使われていない。シンプルながら強烈な存在感を放っている「WLA」は神戸の老舗「エースモーターサイクル」が製作した一台だ。ここまでのオーラを放つ秘密は、一切の無駄をそぎ落として辿り着いた、“究極”ともいうべきコンパクトなスタイルにある。
この車両は実際に存在したヴィンテージレーサーを再現したものではない。あくまでもエースモーターサイクル代表、徳山氏の頭の中だけにある“完成されたヴィンテージレーサー”のイメージを追求したものだ。必要のないパーツは一切省き、極限までコンパクトに作り込んだワンオフパーツを使って構成された外装は、表情豊かなサイドバルブエンジンの存在感をいっそう際立たせている。
注目していただきたいのが、フレームの枠内に収まるようにセットされたタイトなガソリンタンクだ。乗り手の視点から見てもエンジンの存在感を確認でき、オーナーの気分を高めることにも一役買っている。計算しつくされたディメンションで実現した全体のバランスこそが、この車両に込めた徳山氏のこだわりなのだ。
スリムなポジションを生み出すハンドルバーもまた、極限までそぎ落としたからこそのシンプルさが際立っている。スリムなタンクと同じぐらいの幅に収められたトリプルツリーも見どころだろう。
フレームの枠内に収まるように作り込まれたタンク。本来WLAはエンジンオイルとガソリンを収めたセパレートタンクが特徴だが、オイルタンクはシート下に配置。この部分はガソリンのみとすることで、極限までのコンパクト化を実現している。
ステップに置いた足元からチラリと見える程度の長さに収めたマフラー。ターンアウトしたエンド部分の造形も、見た目のアクセントになっている。
リアフェンダーもタイヤとのクリアランスを詰めて装着。シンプルなマフラーも表情豊かなサイドバルブエンジンの存在感を際立たせていることがわかるハズだ。
【DATA】
取材協力/Ace Motorcycle TEL078-855-9500