冬ツーリングを楽しむために知っておきたい、危険回避のノウハウ
冬ツーリングに潜む危険とは
これからの季節は風が冷たく陽が落ちるのも早くなる。だからといってバイクで走りに行かないのはもったいない! 冬は各地のうまいもんが旬を迎えるし、観光地も交通量が少なくなって走りやすい。
しかし、冬ツーリングには寒さゆえの危険が数多く潜んでいるのも事実。ライダーは、不測の事態に陥らないためのノウハウをシッカリ身につけてから出発しよう!
1)走るべきは道の真ん中! 日陰の走行にも注意が必要
路肩は、深夜~早朝にかけて路面に降りた霜が日中でも乾いてない場合がある(とくに山間部の北側斜面)。また、秋に散った落ち葉が堆積していることも。そのため、路肩から最低でも1m以上マージンを取った走行ラインを取ることが安全策といえる。
そして、冬ツーリングで怖いのは、なんといっても路面の凍結。例えば外気温が5度以下だと、日陰は路面温度が0度を下回る場合も多く、日中でも霜や流水が凍っている可能性も。そんな場所でバンクしたりブレーキをかけたらひとたまりもない。天気が良くても、「カーブを曲がったらいきなり日陰」という状況を想定して、ペースを落として走ろう。
2)積極的にタイヤを温める
タイヤは温まることでグリップ力を発揮するが、気温の低い真冬は止まった瞬間から急速に冷えていく。一服する間はもちろん、食事等で1時間も停車したらドン冷えしてしまう。休息後は「タイヤの温め」を必ずやり直そう。そして、休息中は可能な限り日なたにバイクを停めて、タイヤに日光を当てておこう。
また、タイヤは「潰して揉む」ことで内部から発熱する。まず40km/hくらいからフロントブレーキをジワッと強めにかけて前輪を潰す。そしてスピードが落ちたら、アクセルを素早く開けて後輪を潰す。このとき加速しすぎないよう高めのギヤ(4~5速)を使おう。コレを安全な直線路で繰り返し、15分くらい温めるのがオススメだ。
3)空気圧は必ずCHECK!
タイヤはメーカーが指定する空気圧に合わせるのが基本。そして、先月チェックした場合でも気を抜かないようにしよう。気温が下がれば空気は収縮するので空気圧も下がってしまう。気温変化の激しい冬場は、乗り心地と安全のために、ツーリングに出発する前には必ず空気圧をチェックしよう!
4)ルートは海沿いが安心
冬ツーリングのリスクを下げるには「寒い場所と時間」を避けたルート設定が大切。標高が高いほど気温も路面温度も低くなり、路面凍結の危険が高まる。反対に海沿いなら海抜が低いので山岳ルートと比べたら気温が高く、好天なら冬でも相応に暖かい。とはいえ風が強いと道路に潮の吹き上げもあるので、事前に天気予報を確認するようにしよう。
5)融雪剤はよくスベる!
冬場の峠道で目にする路面に撒かれた白いツブツブ。これは塩化カルシウムの粒で、氷点降下の原理を利用して路面の凍結を防ぐためのもの。しかし、これ自体がけっこう滑る。しかも水分と結合すると粒自体が溶けて目視できないので、一か所でも融雪剤が撒かれていたら要注意だ。
まだある! 気を付けたいシチュエーション
たとえば流水の上を通過すると、夏ならわずかに滑るだけだが、冬だと猛烈にスリップしてしまうかもしれない。凍結していたら一瞬で転倒してしまうことも。他にもトンネル出口や橋の上は路面温度が低くスリップの危険度が高い。金属製のフタやマンホール、路面のペイントは、濡れていなくても雨の日と同様に滑りやすくなる。
そしてクルマには有効な滑り止めの砂も、バイクにとっては恐怖でしかない。視野を広く、先を見て、こんな危険な状況を事前に捉えることが重要だ。
このほかにも『CLUB HARLEY 2017年12月号』では、乗りこなしテクニックから最新の防寒ウエアまで、ハーレー乗りが知って得するツーリング最新ノウハウが満載! こちらもぜひ参考にしてほしい。
(出典:『CLUB HARLEY 2017年12月号 Vol.209』)
(Y)