レザージャケットを長く愛用するためのメンテナンス術
バイク乗りの正装ともいえるレザージャケット。しかし、愛車はピカピカなのに、レザージャケットのメンテナンスをおこたっているようではカッコ悪い。そこで、レジャージャケットの基本的なお手入れ方法をご紹介しよう。ポイントはホコリを落としたりする日常的なお手入れと、シーズンオンとシーズンオフの年2回に行うオイルアップの使い分けだ。
▲今回使ったメンテ用品
1:コロンブス カビ用ミスト
2:レザー用リムーバー
3:シリコーンスプレー
4:レザー用ブラシ 馬毛
5:コロンブス レザークリスタル
○今回教えてくれた人
リフレザー・前田光裕さん
職人として日夜、様々な種類のレザープロダクトと向き合うスペシャリスト。的確なアドバイスをくれるので顧客も多い。
日常のちょっとしたお手入れが長持ちのキモ
1)汚れを落とすため定期的にブラシング
バイクに乗っていると排気ガスや土汚れなどが付くので、1~2週間に1回程度はブラッシングをしておこう。その際は下に置くのではなく、ハンガーに掛けてやるのがいい。特にホコリのたまりやすいステッチや切り返し部分などは重点的に。
2)汗をかきやすいところはタオルで拭き取る
首まわりやソデなどの皮脂が付きやすい部分はカビや染みの原因になるので、こまめに固く絞ったタオルなどで拭いたほうがいい。ヌメ革では水染みになることもあるので、乾拭きのほうが無難。臭いの元にもなりやすいので、頻繁にやっておきたい。
3)ハンガーは太いものをチョイスしよう
保管する際にやりがちなのが、細いハンガーに吊るしてしまうこと。針金タイプは絶対にNG。これをすることで肩にテンションがかかってしまい、ハンガーの形に伸びてしまうのだ。太いもので、肩幅にちゃんと合ったハンガーをチョイスしよう。
通常は年2回程度でOK! オイルアップは表面が割れる前にすべし
レザーで一番避けたいのが、乾燥による割れ。レザーが固くなっていると着用した時に割れるリスクがあるし、割れてしまったら元には戻せない。そこで重要になるのがオイルアップ。革の状態にもよるが、年に数回程度でも問題はない。塗り過ぎには注意。
1)手の甲で馴染ませてから全体に塗る
今回使うのはシューズのケアにも使われるレザークリスタル。複数種の天然オイル等を含んでおり、様々な皮革に対応している。油分の濃淡がそのまま革につかないように一度手の甲で馴染ませてから、全体に塗っていく。均等に塗るのが基本だが、劣化や乾燥が目立つ箇所は多めに塗っても良い。ちなみに、オイルやメインテナンス剤を使用するときには、必ずスソ裏などの目立たない箇所でテストしよう。
2)ジッパー部分には潤滑油を
ジッパー部分に潤滑剤を塗ることで、トラブルになりがちなジッパー不良の可能性を軽減できる。レザー部分に着かないように気をつけよう。
3)全体を馴染ませれば完了
ブラッシングで全体を馴染ませていく。レザークリスタルは馴染みが早いので、終わった後にしばらく放置しなくても大丈夫だ。
長期間の放置でカビが生えてしまったら……
長期間放っておくことで、レザーにカビが生えてしまうことは珍しいことではない。原因は皮脂の汚れであることが多い。表面はなくてもポケットの内側はカビだらけ……なんてケースも。それも、カビ除去剤入りのスプレーとウエスで、ある程度の対処が可能だ。
使うのはコロンブスからリリースされているカビ用ミストレザーキュア。カビの生えた部分にスプレーし、拭き取るだけ。防カビ効果もあるので心強い。あとはウエスや歯ブラシでゴシゴシと拭き取る。
突然の雨などでびしょ濡れになったらまず乾かす
突然の雨でジャケットがびちゃびちゃに……。そんな時は焦らずにまずは乾かすことを重視。タオルで拭き取り、陰干しをして乾燥。最後にオイルアップすれば問題ナシ。ただし、ベジタブルタンニンで仕上げたレザージャケットは、濡れに弱いので注意したいところ。
写真のように濡れてしまったレザージャケットは、まずはウエスで拭いていく。内側に新聞紙などを入れておくと乾燥が早く、型崩れも防げる。乾かすときは、乾燥機やドライヤーなどを使用した熱乾燥は、革が熱収縮を起こすため厳禁! また、直射日光で乾かしてしまうと縮んだり、変色してしまう恐れがある。つまりは、陰干しをするのが正解。サキュレーターで送風すると効果的。
レザージャケットにおいて大切なことは、乾燥をさせないことと、カビ予防の2つ。バイク同様、レザーもメンテナンスすればするほど味が出てくるもの。こまめにお手入れして長く愛用したいものだ。
(出典:『CLUB HARLEY 2018年1月号 Vol.210』)