1. HOME
  2. コラム
  3. ニューモデル
  4. スポーツスターSって実際どーなん!?【その1】

スポーツスターSって実際どーなん!?【その1】

先日開催された「第30回 ヨコハマ ホットロッド・カスタムショー2021」において、日本限定発売となる空冷スポーツスターの“ファイナルエディション”が発表された。これによって今後は“スポーツスターS”こそが、長きに渡って続いてきたスポーツスターシリーズのスタンダードになっていくことが確定したワケだ。だが、それってどーなの!? というワケで数々のギモンを解消するべく、実際に乗って検証してみた。

そもそも“走り”はどーなん!?

各メディアによれば“リアルなスポーツバイクに生まれ変わった”と評判だが、単に写真を眺めるだけでは、空冷モデルの“フォーティーエイト”にも似ているような気が。従来の「エボリューション」から水冷の「レボリューションマックス1250T」エンジンへと世代交代しているだけに、エンジンのフィーリングはスポーティになったかもしれないが、そもそもロー&ロングだし曲がりにくいのでは!? というワケで試乗してみた。

カーブはちゃんと曲がれるの!?

ロー&ロングなシルエットでありながら、街中はもちろん峠道でも軽快。驚かされたのは、ステップをすることがあまりないことだ。そのためカーブが連続する道であっても速度を落としすぎることなく、テンポよく走ることが可能だ。傾ける際も、空冷スポーツスターで顕著だったリアタイヤに遅れてステアリングに舵角がつく感じや、高いところから落ちるような感覚もなし。バイクとの一体感が強く、ハッキリ言って乗りやすい!!

ブレーキはしっかり利く!?

フロントフォークが柔らかく、フロントブレーキを強めにかければギュン! とフォークが入ってしまう印象のハーレーだが、このスポーツスターSにはそれがまったくない。指1本でレバーを引けばチ~ッと減速し、さらにレバーを引き込めばギューッと利く。思い通りに利くから純粋に“バイクに乗ること”に集中できる。バイクでスポーツしている感覚を存分に味わえるぞ!!

加速はどうよ!?

ドコドコ感という点では空冷モデルに若干引けをとるものの、新しい水冷エンジンでも2気筒らしいパルス感をしっかり感じることができる。さらにトルクが圧倒的。そしてガチで速い。スタートダッシュはもちろん高速道路での追い越しも、スロットル操作ひとつ。右手を少し大きめに捻るだけで、首が後ろに持っていかれるほど強烈なトルク感で車体を前へ押し出すのだ。回転上昇もさすがDOHCという早さ。もちろん、空冷スポーツスタのように4000回転以下でダラダラ走ることもできる。これは頼もしい!!

乗ってわかったスポーツスターSの正体とは!?

ローダウンスタイルやフォワードステップ、そして極太のフロントタイヤからルックス重視のモデルと捉われがちだが、走らせてみれば間違いなく“スポーツバイク”。しかし、スポーツ性に特化させるのではなく、あえて万人が楽しめるキャラクターとした、優しいスポーツモデルといえるだろう。

ライディングポジションがキツいのでは!?

シルエットが似ているフォーティーエイトと比べて、ハンドル位置が微妙に高いことがわかるだろうか!? これはおそらく操作性を考慮してのこと。乗れば納得いくのだが、ポジションの自由度がとても高く、リーンアウト気味の姿勢やねじ伏せるようなライディングにも対応。フラットトラックレーサーにも通じるスポーティなポジションなのだ。またブレーキはもちろんクラッチレバーを好みの位置にアジャストできることにも注目。一般的なスポーツバイクならば調整できることは当たり前ではあるが、ハーレーにとっては革命的なのだ。

国産メーカーをはじめとしたスポーツバイクならば、ハンドルにチカラを込めるような乗り方はご法度とされるが、このバイクはハンドルに非常にチカラを入れやすい作り。ご覧のようにハンドルにチカラをこめてクイッとやるのがとても簡単にできてしまうのだ(あえて推奨しませんが……)。アメリカではチカラ任せにライディングする人が多いのだろうか!?

◆最も遠くした状態

◆最も近くした状態

ブレーキとクラッチレバーにそれぞれアジャスターを装備。最も近い状態と遠くした状態で10mmはあろうかという調整幅をもち、さまざまな乗り手にフィット。レバー形状も従来までの太いものではなく、国産メーカーのバイクのようなスリムなレバーを装備しているため、とても操作しやすいのだ。

前輪が太くて曲がりにくいのでは!?

前輪が160mmと極太なモデルだけに、シートストッパー部分に腰を当てるようにして乗ると、車体がバンクするスピードはとても穏やかだ。だが「なんだよ、やっぱり曲がりにくいじゃん! 」と思うなかれ。確かに、後ろよりに座ると正直狙い通りのラインで曲がるのはちょっと怖いのだが、このモデルは“どこに座るか”によって操縦性が大きく変わってくるのだ。

峠道では“前寄り”に座るとクイックになる!

◆シートストッパー部分に腰を当てるように“後ろ寄り”に座った状態

◆シートストッパーをシカトし、“前寄り”に座った状態

スポーツスターSのシート形状は、ハーレーにありがちな後方に向かって傾斜したものではなく、かなりフラットなデザインを採用している。そのため着座する位置に自由度があり、峠道では前方に座るのがオススメ。クイックな操縦性になるうえ、上の写真のように車体の真ん中付近に座れるため、バイクとの一体感も強くなる。

◆連続するカーブでもシャープに切り返せる!!

シートの前方に座ってライディングすると、連続するカーブでもシャープに切り返すことができる。また、重量配分がいいのか、バイクとの一体感が強く、乗り手の動きに対してレスポンスがいい。思いのまま向きを変えるという“ハーレーらしからぬ操縦性”を堪能することができる。とはいえ、他メーカーのスーパースポーツのようにクイックというワケではなく、あくまでも“ハーレーとしては”クイック。レスポンスが鋭すぎないので、ビギナーでも不安のないレベルだということは付け加えておこう。

タンクが“らしくない”気がするけど!?

タンクは従来のスポーツスターと比較して縦長に、そしてワイドになった。見た目に馴染めない人もいるかもしれないが、またがるとその良さがすぐに理解できるだろう。自然とニーグリップできる形状になっているほか、低くマウントされているため、国産メーカー製のネイキッドモデルのような大きなタンクによる下からの圧迫感もないのだ。

足つきはどーなの!?

フォーティーエイトより若干シート高が上がり、さらに右側にマフラーがあるにも関わらず足つきは良好だ。上の写真は身長171cmのライダーによる足つきチェックだが、カカトまでベッタリと着く。仮に小柄な体格の人で足が着かなくても、車重が空冷スポーツスターより20kgも軽く、さらに重心バランスも優れているために重さを感じることがないぶん、不安はないハズだ。

このマフラー絶対熱いでしょ!!

かなりシッカリとした作りのヒートガードを備えているためだろう、右足をステップに置いている限りは、ほぼ熱さは感じない。ただし、見た目ほど熱くないとはいえ、渋滞などで足を着くとそれなりに熱いので、ツーリングなどで長時間乗るなら厚めのデニムをはくなどの対策はしたいところだ。

新しいエンジン、おもしろいの!?

◆指1本でセッティングを変更できる

◆スポーツ

◆カスタム

◆レイン

◆ロード

基本設計は先行してデビューした“パンアメリカ”と同じだが、低中速域のセッティングが大きく変えられたエンジンを搭載。従来の空冷モデルのように4000回転以下でトルクフルに走ることができるのはもちろん、それ以上回せば鬼のような加速を発揮。また、手元にあるスイッチによって指1本でさまざまなモードに変更できるため、走る状況や気分に合わせてセッティングを変えるという“新たな楽しみ方”もできるのだ。

自分好みに設定できるカスタムモードを用意!!

エンジンブレーキがどれぐらい利くようにするのか、またスロットルに対する前進性などを細かく設定できるカスタムモードを2種類まで登録可能。まるで自分自身でEFIチューニングできるかのような面白さだ

関連記事

NEW

2月号
Vol.283

カッコいいガレージの実例集!!「ハーレー乗りの秘密基地」

1月13日発売

新着記事

オススメ記事

ランキング