鉄馬乗り的 銘品図鑑 Danner「MOUNTAIN LIGHT」
世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップ。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。今回はDannerの「MOUNTAIN LIGHT」をご紹介。
MOUNTAIN LIGHT
7万4800円
ダナーの名作マウンテントレイルの後継モデルとして1982年にリリースされたマウンテンライト。当時の最先端の技術を駆使して、ゴアテックスを搭載した画期的なモデルでもあった。ダナー式のステッチダウン製法により、歩きやすく軽量性にも優れており、その機能性はリリースから40年経った今も健在だ
防水性を追求したマウンテンブーツの定番。
ハーレー乗りの定番ブーツと言えば、エンジニアブーツであることは間違いないが、今回ピックアップしているマウンテンブーツ、ダナーの「マウンテンライト」は、1982年にリリースされた名作だ。
もしこのブーツが1950年代にあったら、今のエンジニアブーツのようになっていた可能性があるくらい、ハーレー乗りにとってベストな機能性とデザイン性をもつ。
マウンテンライトは、1961年にリリースされたダナーの歴史的なモデルである「マウンテントレイル」をルーツに持つ。マウンテントレイルは、軽量でクッション性や耐久性に長けたビブラムソールを先駆けて採用。当時のバックパッカーブームも手伝い、大ヒットを記録。権威ある雑誌『バックパッカーマガジン』でも史上最高のハイキングブーツのひとつに挙げられるなど、ダナー=マウンテンブーツの図式を成り立たせた。
そんなダナーがエポックメイキング的なモデルとして、1979年に発売したのが「ダナーライト」だ。
世界初のゴアテックスを搭載した画期的なモデルで、防水性が至上命題であったマウンテンブーツの新たなスタンダードを築いた。さらにゴアテックスの技術と、伝統的なマウンテントレイルのDNAを組み合わせ、1982年に登場したのが「マウンテンライト」なのだ。
ハーレー乗りに指示される大きな理由のひとつが、ゴアテックスを搭載した完全防水という機能性にある。革製のブーツでありながら水を通さないことは、バイク乗りにとっても大きなアドバンテージであることは間違いない。
またダナーは、より防水性を高めるために独自のダナー式ステッチダウン製法を取り入れているのもポイントだ。この製法は、アッパーの革を内側に巻き込まず、コバ側に張り出すようにつり込みながら中底と一緒に外周部分で縫い合わせることで屈曲性を高めている。そのため水はけが良く、軽量化を図りやすい上に歩きやすいので、バイクから降りてからの快適性もピカイチなのだ。
さらにウォータープルーフ加工を施したフルグレインレザーを使い、従来のレザーと比べて水に強い上、耐久性が非常に高いレザーなので、ハードなシフト操作にも向いており、ハーレー乗りが求める機能性はすべて詰め込まれている。
機能性にばかり触れてきたが、ハーレー乗りだけでなく、ファッションの世界でも定番として根付いているマウンテンライトの魅力は、完成されたデザインも挙げられる。マウンテンブーツの象徴的な作りのひとつである、Dリングを用いたレーストゥトゥはスソ幅の広いパンツにもマッチし、細身のシルエットからブーツカットまで合わせられる。またアッパーにボリュームがあるので、ハーレーに乗る時のためにレングスが長いパンツでも引きずる心配がなく、そこのストレスがないのも大きい。完全防水ながらもゴアテックスによる透湿性もあるため、長時間履いても快適な点も大きな魅力だ。
ゴアテックスを採用
ダナーは、1979年に世界で初めてゴアテックスを搭載したブーツの発明に成功した。そのノウハウを活かして、ダナーの傑作であるマウンテントレイルを完全防水仕様にアップデートさせたのが、マウンテンライトだ
ダナー式ステッチダウン製法
量産性の高いグッドイヤーウェルト製法ではなく、軽さや屈曲性を重視して、ダナーでは独自のステッチダウン製法を採用。甲革の端を表底に貼り付け、出し縫いを行う製法のため高い防水性を加味できるのも魅力である
ビブラムソールを使用
マウンテンライトのルーツとなるマウンテントレイルは、いち早くビブラムソールを採用したことでも知られる。現在は、安定性が高くグリップ力にも優れるビブラムクレッターリフトソールを採用
Made in USA
ダナーのマウンテンライトは、今や希少になってしまったメイドインUSA。ステッチダウン製法を基本とし、今も250以上の工程を手作業で行っている。このクラフトマンシップこそ、今も定番として愛される理由のひとつだ