鉄馬乗り的 銘品図鑑 ROARS ORIGINAL「PADDED RIDERS JACKET」
世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップ。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。今回はROARS ORIGINALの「PADDED RIDERS JACKET」をご紹介。
問い合わせ/ロアーズオリジナル
TEL03-6434-0961
https://www.roars.jp/
PADDED RIDERS JACKET
16万2800円(M、L、XLサイズ)
18万8100円(XXLサイズ)
高めに設定されたスタンドカラーが目を引くダブルブレストのライダースジャケット。あえて中綿は入れず、よりシボ感を際立たせたオリジナルの牛革であるシュリンクレザーを使っている。’80sのモーターサイクルジャケットをモチーフとしたデザインで、ヒジと肩にパデッドを配置している
オリジナリティあふれるブランドの代表作
今回ピックアップしたのは、独自のアプローチで機能性とファッション性を両立させ、唯一無二のライディングギアを展開する「ロアーズオリジナル」の“パデッドライダースジャケット”だ。
このライダースが銘品と呼ばれる由縁は、アメリカンライダースと英国のモーターサイクルジャケットの要素をミックスし、高いオリジナリティを実現したことだ。
このジャケットの真髄を知るために、まずライダースジャケットの歴史を振り返りたい。ライダースジャケットのベースになったのは、飛行服から派生したアビエイタージャケットだと言われている。ジェット機が登場する前はむき出しのコックピットに乗っていたため、防風性や防寒性に優れたダブルブレストのレザージャケットが誕生した。
その機能性に目をつけたのが、モータリゼーションの発達により爆発的に増えたバイク乗りたち。’30
年代にはライダースジャケットの原型となるアビエイタージャケットが生まれ、時代とともにバイカー仕様に洗練されていった。
アメリカでは広い国土を移動するため、ロングツーリングが基本。上体を立てるゆとりのあるライディングポジションから、短めでウエストベルトが付き、背面にはアクションプリーツを備えるアメリカンスタイルが確立された。
一方、英国では’50年代こそアメリカの影響を受けたデザインを作っていたが、独自の発展を遂げていく。英国は’70年代に衰退するまで、世界屈指のバイク大国であった。国土の広さの影響もあってか、前傾姿勢のスポーティなバイクが求められた。その結果、乗車時にタンクを傷つける恐れのあるウエストベルトは付かず、腰が露出しないようにタイトでほどよく着丈の長いデザインが主流となった。
このロアーズオリジナルの一着は、あまり注目されていない’80年代のUKモーターサイクルジャケットをモチーフとしながらも、アメリカンライダースを彷彿させるシボ感のある質実剛健なレザーを採用している。このシュリンクレザーという素材が実に優秀で、1・3㎜とジャケットにしては厚めで、安心感を与えてくれる一方、かなり柔らかく、硬くて重いというライダースが持つイメージとは一線を画す。
またUKのライダースジャケットだと身幅の割にアームが太すぎたり、パデッド部分が大きすぎたりとバランスの悪い個体が多いが、インナーも気込めるくらいのほどよいサイジングにリファイン。パッド部分には柔らかくて弾力性のあるウレタンスポンジを使っているのもポイントだ。
また生産背景にもこだわっており、東京にある自社ファクトリーにて熟練した職人の手作業で、裁断から縫製まですべての工程を行っている。10年以上のロングセラーモデルだが、常に細かな点をアップデートしており、外注の工場であれば断られてしまうような細かな修正も、自社工場なのでとことん突き詰めることができる。この真摯なもの作りの姿勢が、この傑作を生み出したのだ。
高めのスタンドカラー
ありそうでない高めのスタンドカラーでダブルブレストというデザインが秀逸。首元からの風の侵入を防ぎ、なおかつヘルメットと干渉しない絶妙なバランスを実現。フロントジッパーを開くと、また一味違う表情になってくれるのだ
高級感のあるシボレザー
シュリンクレザーとネーミングされたオリジナルの牛革を使っているのも見逃せないポイント。オイル分がたっぷりあり、肉厚ながらも柔らかいのが特徴だ。強くシボ感を出しており、この手の革はハイブランドでも使われている
スポーティなパデッド
アメリカのライダースジャケットだとダイヤモンドパターンが多いが、UKモーターサイクルジャケットは、このようにシンプルなパターン。肩とヒジに施されており、安全性はもちろんのこと、屈曲性も高いので、ストレスなく着られる
全作業を自社工場で
このクオリティを常にキープするために、東京に自社ファクトリーを設立するなど、生産背景にも徹底したこだわりを持っている。10年以上のロングセラーモデルであるが、常に細かな修正を加えており、圧倒的な完成度を誇る