鉄馬乗り的 銘品図鑑 THE FLAT HEAD「HORSEHIDE SINGLE RIDERS JACKET」
世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップ。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。今回はTHE FLAT HEADの「HORSEHIDE SINGLE RIDERS JACKET」をご紹介。
問い合わせ/フラットヘッド・ネクスト
TEL026-275-6666
https://www.flat-head.com/
FN-LJ-HS005
HORSEHIDE SINGLE RIDERS JACKET
27万2800円
1940年代のスポーツジャケットをモチーフに、フラットヘッドらしいオリジナルデザインに仕上げたシングルライダース。老舗タンナーである新喜皮革とともに開発したオリジナルのセミアニリン仕上げのホースハイドを使用。長野にある自社ファクトリーにて完全ハンドメイドで生産される
シンプルなスタイルに込められたこだわり
アメリカのシングルライダースと言えば、無駄を削ぎ落としたシャツに近いレーシングモデルが主流だが、このホースハイドシングルライダースの本質は一味異なる。
ベースとなったのは、’40年代のヴィンテージ。この時代は、ライダースジャケットの黎明期となる’30
年代に生まれたアビエイタースタイルのジャケットとともに、スポーツジャケットと呼ばれるデザインが人気を博していた。
スポーツと冠されているが、特定のスポーツに特化したものではなく、カジュアルウエアの総称的なネーミング。今で言うテニスシューズのようなニュアンスである。
スポーツジャケットタイプのシングルライダースは、後年に主流となるレースで使用することを前提にした、スタンドカラータイプのシングルとは異なり、エリが付き、背面にはウエストを調整するためのアジャスターが付く、生産効率をいい意味で無視した手の込んだ意匠が、落とし込まれているのが特徴だ。
ヴィンテージの場合、ソデがカフス仕様になっているものが多いが、フラットヘッドが作り上げるこの一着は、ライディングギアとしての機能性を高めるために、ジッパーを配し風の侵入を防ぐなど、ヴィンテージへの敬意を払いながら、シルエットや機能性は現代的にアップデートされているのが特徴。
このジャケットを語る上で欠かせないのが、その生産背景だ。多くのブランドは、デザインを行った後に、生産はファクトリーに外注するのが一般的。もちろん優れた職人や工場が多く、素晴らしいクオリティを実現してくれるが、ひとつのブランドだけ特別に労力を割くことは現実的ではない。
フラットヘッドは理想のクオリティを追求するため、そして洋服をより深く理解するために、自社のレザークラフト工房であった「ストックバーグ」で一部のレザージャケットの生産をスタート。裁断から縫製まで一貫して行っており、何度も試行錯誤を繰り返し、理想の一着を仕上げている。
レザージャケットにおける腕の見せ所のひとつが革の裁断。レザーは動物の副産物であり、ひとつひとつ表情が異なり、シボの入る量も違ってくる。シボの入る部分は見えにくく、可動域のあるパーツに持ってくるのが職人の流儀であり、見た目は美しく、着ると快適という部分に直結する。その他にも数㎜単位で革のすきにもこだわり、縫製に関しても語りきれないくらいの徹底したこだわりが詰まっている。
そしてこのレザージャケットの要となるのが、日本有数の馬革のスペシャリストである「新喜皮革」と協業した茶芯仕様のホースハイド。経年変化した際のマッチングを考えて、あえてブラウンの糸で縫製しているのもポイントだ。実は今でこそ当たり前になった茶芯仕様は、フラットヘッドがパイオニアとも言われている。何十年も続けてきたアイデンティティとも言える、ホースハイドの魅力を是非とも体感してほしい。
自社工場でのハンドメイド
より細かな作り込みを実現するために、もともとはレザークラフト工房であったストックバーグで生産をスタート。レザークラフトで培った技術をベースに、当時のクラフトマンシップを超えるような徹底した作り込みで生産する
茶芯のホースハイド
日本指折りの馬革のスペシャリストである新喜皮革と協業したオリジナルのセミアニリン仕上げのホースハイドを使用。いわゆる茶芯と呼ばれる仕様にしているため、着込むことでベースの茶が出てきて、なんとも魅力的な経年変化に
美しい縫製
茶芯仕様のレザーを使っているため、エイジングした際の一体感を考慮してブラウンのステッチをあえて採用している。非常に目立つカラーリングのため、一切の妥協は許されず、高い技術があってこそ、この美しい仕上がりとなるのだ
ソデのジッパー
スポーツジャケットは、ヴィンテージだとカフス仕様になっているものが多いが、ライディングギアとしての機能性を考慮してジッパー仕様に。またパーツ類にもこだわっており、鉄バックルはオリジナルで制作している